第11話 部屋の中には ※ミントン伯爵家当主視点
娘のクリスティーナを追い出した翌日。早速、部屋の中を確認しようと思った。
クリスティーナの部屋の前には常に、侵入を止めるために警備している兵士が1人立っていた。家族ですら侵入を禁じている。それほどまで厳重にする必要があるのか疑問だった。
部屋の中には大事な情報が保管されているから、誰も中に立ち入れないようにしていると、娘は言い訳をしていた。それほど守りたい物を部屋に保管しているらしい。つまり、財産を置いているということ。間違いないだろう。
私は、1人でクリスティーナの部屋にやって来た。執事やメイド達は、娘の味方をする傾向にあったので、面倒なことを言ってくるかもしれない。
まずは私が一人で中に入って、何があるのか確認しておこう。その後、ゆっくりと扱い方について考えよう。
「ふむ」
いつも部屋の前で警備していた兵士が、今は居なくなっていた。クリスティーナが個人的に雇っていた人物。ミントン家の者でなくなった娘の関係者だから、出ていくように命令するつもりだった。だが、居ないのなら好都合だ。手間が省けた。
扉を開けて中に入り、確認する。
「……ん?」
部屋中をぐるりと見渡した。だが、紙の束が積み重なっているだけ。金目のものは見当たらない。
「そんな馬鹿な……」
部屋の中を調べ続ける。だが、金貨の一つも見つけられない。金庫のようものすら置いていない。ただ、紙の束が置いてあるだけ。他には何も無い。
「……ない? ない、ない、ないッ!」
私は、しばらく呆然と立ち尽くした。一体、どういうことだ。
何の収穫も得られなかった部屋を後にする。執務室に戻ってくると、そこに執事が待機していたので話しかけた。
「クリスティーナは何処に行ったんだ?」
「昨晩、旦那様が追い出しました」
それは、分かっている。
「その後だ。アイツは、どこに行ったんだ?」
「それは知りません。お嬢様と話をする時間もなく、すぐに屋敷を出ていかれましたから」
執事が、非難するような目を向けてくる。私が、何もさせないように家を追い出したことを責めているようだ。そんなものは無視して、話を続けた。
「あの後、どこに行ったのか調べろ」
「……わかりました」
家から出ていったクリスティーナの行方を調べるよう、執事に命令した。納得していないようだが、当主としての命令で拒否することは許さない。
クリスティーナの行方については、すぐに判明した。どうやら、近くにある大きな屋敷に滞在しているようだ。うちよりも大きな屋敷に。
おそらく、私に対する当てつけのつもりなのだろう。家から追い出した者が実は、そんなに大きな屋敷を持っていたんだと、見せつけているのだ。
それから、部屋に置いていなかった財産は、向こうの屋敷に移していたのだろう。なんて小賢しい。
そんな事をしても、クリスティーナをミントン伯爵家に戻すつもりはない。彼女が財産を保有しているとアピールしてきても、許すつもりは一切ない。
どうにかして、クリスティーナから財産だけ奪い取る方法を考えなければ。なにか良い方法は無いだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます