106.ミルクでのんびりまったりと

 きくち正太先生作の漫画作品『おせん』は老舗料亭『一升庵いっしょうあん』を舞台に、旅館の跡取りで修行を兼ねた奉公のために大学卒業後ここに勤めることとなった青年と、そこで寝食を共にしながら超一流の味ともてなしを提供する従業員、加えて普段は天然の飲兵衛姉さんだが天才的な美的感覚で料理から書・陶芸までもをこなす女将の『おせん』半田仙はんだ せんが中心となって繰り広げるグルメ人情ドラマ漫画なんですが、そのエピソードの中でおせんさん実は牛乳が飲めなくてのむたんびにお腹壊して結局、『仔牛の為に有る物なんだから人間様が取り上げて飲んじゃいけないよね』って言う結論に達するエピソードが有るんですが、私が最初にこれを読んだ時にかなり違和感を感じました。


 牛乳ってカルシウムやビタミンDが豊富に含まれており、骨や歯の強化に重要で、骨粗しょう症や骨折のリスクを減らすことが出来ますし良質なたんぱく質が含まれており、筋肉の成長や修復に役立ち満腹感を与える成分なんかも含まれてて適度に摂取すると食欲がコントロール出来てある程度ダイエットにも効果が有るんじゃないかって言われています。そうそう、カルシウムには血圧の調整に役立つことがあるんだそうですよ。私みたいな微妙なお年頃になって来ると、血圧とか骨粗鬆症とか言う単語に敏感に反応しちゃったりなんかする訳ですので、牛乳ってとってもありがたい飲み物(食品?)である事は確かです。


 人間は植物みたく光合成でエネルギーを作り出すなんてことは出来なくて、体を維持するための物は全て口から接種するしかない訳ですね。更に、困ったことにその体はめちゃめちゃ複雑で必要な栄養素も星の数ほど必要で、それを限られた食べ物から取り込むなんて事は不可能に近くて、だから、こう言う豊富な栄養素を含む物は積極的に捕り入れないと今年みたいな酷暑は乗り切れない訳ですよ。牛乳を否定するのはちょっと難しいんじゃないかなぁ……。


 ただ、牛乳にはラクトース(乳糖)って言う物が含まれてて一部の人にとっては消化が難しいこともありますので注意が必要で、おせんさんはどうも『乳糖不耐症にゅうとうふたいしょう』の様ですね。


 さて、牛乳にはトリプトファンというアミノ酸も含まれています。これは脳内でセロトニンやメラトニンという神経伝達物質の生成に関わり、これらはリラックスや睡眠を促進します。さらに温めると体を落ち着かせる効果がアップするんだそうで夜寝る前に飲むと睡眠の質を改善してくれることも有るみたいです。ただこの温た時の古歌に関しては子供の頃からの習慣が必要で、ホットミルクが「安心感」や「くつろぎ」の象徴になってないといけないって言う前提条件が絡んで来るみたいですが、まぁ、トリプトファンが何とかしてくれるって。


 何だかここ最近、急に冷え込んできましたね。あの猛暑が過去の出来事になって懐かしい出来事の様に思われて来たりなんかするんですが、そんな時、あったかいミルクで心を癒してみると言うのは如何でしょうかって私の場合はアイリッシュ・コーヒーに走りそうな気がしますけどね。


 でも、小学校の給食で出た瓶入りの牛乳、美味しくなかったなぁ……水で薄めたみたいなコクの無さ。よく言えばさっぱりなんですがはっきり言いきってしまえば味がしない。ミルメークを投入しても全然風味がアップしないあの謎の飲み物は何だつたんだろうって、今でもたまに思い出します。今はそんな事無いんでしょうね、ちびっ子諸君、牛乳沢山飲んで健康な体になってくださいね。今はこれを言っちゃいけないみたいなんですが私はあえて言う、ダメだよ、好き嫌いは。そして更に言うと、今は嫌いでも大人になると好きになる物は沢山あるぜ。

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