91.お茶にしましょうか

 またまたラジオネタで恐縮ですが、そのお話によりますよ、最近『急須きゅうす』がないお宅が増えてるんだそうですね。そう、あのお茶っ葉いれてお湯入れてお茶を入れる急須です。材質も色々あって陶器は勿論鉄器にガラスにアルミニウムなんかの金属製。それぞれ特性が有ってそれぞれの味わいがありそうですね。


 でも、ここ最近はあんまり売れてないみたいで、その一番の原因は、お茶はペットボトル入りの物を買ったほうが早い、それに余計な生ごみも出ない、更にそれなりに美味しくて自分で入れるよりも味が良かったりする。なんて言うのが有るみたいですね。だ、もんでお茶の葉自体の売り上げも右肩下がりの状態で、日本国内よりもむしろ海外での需要の方が増えてるくらいなんだそうな。日本人よりもお茶に詳しい外人さんも増えてるみたいなのでそれはそれで嬉しいかなぁとは思うんですが、少し寂しい気がしますよね。


 紅茶・烏龍茶・緑茶この共通点は何でしょう?実は全部同じ茶葉で(紅茶は物によって種類が違うみたいですが……)発酵加減が違うだけで全部元を辿ると茶葉なんですって。で、緑茶の起源は中国なんだそうで奈良時代にはすでに伝わて来てた記録が有るんだそうです。ただ、当時は貴族など限られた人々だけが飲むもので一般に広がったのは鎌倉時代の栄西禅師ようさいぜんじが中国から茶の種を持ち帰ったことがきっかけでお茶が健康に良いことを記した『喫茶養生記』を著し、茶の栽培や飲み方を広めたんだそうです。この頃から日本人って健康志向のマインドが高かったんですかねぇ。でも、カテキンは体に良い事は絶対的に確かですものね。抗酸化作用、抗ウイルス作用、コレステロール低下作用、それに口臭予防効果も有りますからこまめに飲むと効果大きいかも知れませんね。


 外国の皆様が『アイスコーヒー』をありえない(今はスタバなんかで売られる様になって知られる様になったみたいですが)と思っていたのと同じで、私が子供の頃は冷たいお茶なんて考えられなかったんですよね。お茶は熱い物って完全に刷り込まれててそれ以外の飲み方は無いって信じ込んでましたもの。で、1960年代から1970年代にかけて、缶入り飲料が普及し始めたんですね。それに目をつけたのが日本コカ・コーラ様では1981年に『ジョージア緑茶』を発売したんですが実はあんまり売れなくて短期間で撤退してしまった様です。この頃はお茶は家で入れて飲む熱い物って言う考えがまだ根強かったんでしょうね。


 でも、その後1989年に伊藤園様がペットボトル入り緑茶『お〜いお茶』を発売してこれが大ヒット、2021年度には累計販売本数が300億本を突破したんだそうです。そして、このあたりから急須の普及が怪しくなって来たみたいなんですよ。前述の通りで美味しくて手軽で余計な生ごみが出なくてしかも美味しい。伊藤園様の品質管理はかなり厳重らしくてヒットした理由の一つになってるみたいです。


 単なるノスタルジーなのかも知れませんが、テーブルの上で急須とお茶の缶、湯気を立ててる大きめの茶碗が有る風景って、なんかほっとするような気がしません?日本人が1300年間親しんできた緑茶の文化は既にDNAに刻み込まれてるのかも知れません、それがたったの40年程度で失われてしまうのってちょっと悲しい気がします。お手軽さに甘えるのも良いですがちょっと手間暇をかけてお茶入れて見ませんか、そして素敵でほっとする時間を過ごす贅沢を体感するのも良いんじゃないかなって思います。


 さてさて、それではお茶にしましょうか♪♪

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