6月の怪物ちゃん
にちか
光と闇
プロローグ
6月上旬。梅雨に入ったのと共に、新学期特有のワクワク感も薄れてきた今日この頃。
突如、俺の通う私立
朝礼前の教室にて。
いつものように友達と談笑していると、珍しく担任の荒川が朝礼前なのにも関わらず教室に入ってきた。清正高校の制服を着た見知らぬ一人の女を連れて。お決まりの展開か。
「えーっとだな……みんな揃ってるな、静かにしてくれよ? 今日からこのクラスに加わることになった新しい仲間を紹介するぞ」
そう言うと、荒川先生は後ろの女生徒を前に出した。
「自己紹介してもらえるか?」
「はい」
女生徒が返事をする。透き通った声だった。そして顔立ちが整っている。長い黒髪が特徴だ。身長は165cmくらいだろうか。すらりと背筋が伸びきっていてスタイルもいい。胸は...
「オイ、どこ見てんだよお前」
隣に座っていた この親友とは思いたくもない自称親友の高杉亮太が意味ありげに笑みを浮かべながら俺に囁いてきた。
「別に?何も見ていない」
俺は無表情のまま答える。
「ふぅん……」
亮太は疑うような視線を向けてきたが、すぐに前に向き直った。
「初めまして。
...終わりか。まぁベタな自己紹介だこと。もう少し趣味だの好きなタイプの男性だのそういう事も喋れば良いものを。まぁ転校初日だからそれも難しいか...なんてことを俺は頭の中で考えていた。
「じゃあ三森さんはあそこの空いてる席に座ってくれ」
「はい」
彼女が指定された空席に向かう。
...俺の後ろの席。
「...よろしく。」
とりあえず挨拶しておくことにした。
「...こちらこそ?」
人を見る目が何だかぶっきらぼうではあるが、とりあえず返事してくれた。
しかし何故だろう、彼女の瞳の奥底にある黒い何かを感じた気がした。それは一瞬のことだったため気のせいかもしれないが……。
6月の怪物ちゃん にちか @funi_mame
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