第4話 気持ちを上げてくれる女性
水曜日。ルークスは定休日だ。
三沢純が店内を飾るため、生花店を訪れた。
「ピンクのガーベラと、カスミソウと・・・」
偶然、生花店の前を桃花が通りかかった。
「え!?推し!」
思わず、声が出てしまった。
「あ・・・昨日はどうもありがとうございました」
声を聞いて、つい振り返った三沢純が
桃花を見るなり、お礼の挨拶をした。
「こんにちは。テイクアウトした4種類のケーキも
全て美味しくいただきました」
「あ、あの、良かったら、どこかでお茶しませんか?」
三沢純はナンパではないのだが、
この時ばかりは咄嗟に誘ってしまった。
「いいですよ。それでは『ルークス』でお願いします」
「あ、今日は定休日なので、貸し切りですね」
2人は顔を見合わせて笑った。
『closed』の看板が掛けられた店内で
2人は1番テーブルに座って、
三沢純はケーキとコーヒーを用意した。
「僕はフランスで5年間修業をしたんですよ。
同期のフランス人は、
公園などで見掛けただけの女性にも、
ものおじもせずに声をかけていました。
その点、あなたは、ほとんど毎日、
僕の店に通ってくれているでしょう?
少なくとも顔見知りという間柄ですよね」
「そうですね。
ここのケーキを一口食べた時から、
私の口に合う、と言いますか、
今まで食べたことのない、上品な美味しさ、
すっかり虜になりました。
これからも通いますね」
「ありがとうございます。
それでは、あなたを飽きさせないよう、
新商品を次々と開発しなきゃな。
しかし、
毎日のように店内で召し上がっていただくうえに、
大量にご購入いただいて。飽きないですか?」
「全然!毎日でも食べたいです」
三沢純はドキッとした。
ただでさえ、
黒髪サラサラストレートの女性は好みだ。
人間、外見ではないが、
毎日顔を合わせるとなると、
自分の好みのパーツを持っている女性に限る。
外見が好みである上に、こんなに気持ちが上がる
言葉を言ってくれる女性なら・・・
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