女子高生との距離が掴めない!

洲崎太朗

プロローグ

「今年を最後にこの学校は廃校になる。」


「え......えーーーーっ.........!?!?」


僕は、先生の一言に驚き声を上げてしまった。

僕が通う中高一貫のはずだった夕陽丘学園中学校は、今年を持って廃校。その事実に目を向けられなかった。



【【【【1年後】】】】



4月8日、高校の入学式。新しい高校の制服を身にまとった僕は、周りにいる女子という存在にとてつもなく動揺していた。


中学生時代、『男子校』というとてつもなく特殊的な環境で育った僕は、周りに女子が複数人いるだけで、なんだかハーレム的な状況なんじゃないかとか、なんか運命的な出会いとかがあるんじゃないかとかそんなことばっかり考えてしまう。


入学式が終わり、自分のクラスに帰ってきた。


「同じ教室の席に女子が座っている。」


この事実だけが、僕を緊張させていた。


担任の教師の話が終わり、先生が突如として仲を深めるためとかなんとか言い訳をつけて周りの人と連絡先を交換したり、話すように促した。


中学時代は、陽キャという部類に入っていてコミュ力にはある程度自信があったが、何がなんでも男子校と共学校では、土俵違いすぎる。


僕が何を話そうかとあたふたしていると、


「こんちは。1年間よろーー。」


隣の女子が話しかけてきた。これ、脈アリかな。なんてくだらないことを考えて、頭の中ではふざけていたが、


「こ...こ...こんにち...わ。よ...よよろしくお願いします。」


なんだか、とてつもなく敬語になってしまった。

話しかけて来てくれたその女の子は、何故か笑いだした。


「君、礼儀正しいんだね。」


えぇーーーーーッ!?緊張して言葉が詰まってるだけなのに、なんでこんなに純粋なんだ?これってもしかして脈アリか?なんてことを本気で考えてしまうほど僕の脳は男子校脳になっていた。


僕に、話しかけて来てくれた女の子のボケを真に受けてしまう僕は、その女の子よりとても純粋だったのかもしれない。






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