こんにちわ

バブみ道日丿宮組

お題:希望の姉妹 制限時間:30分

こんにちわ

 それは、奇跡ともいえる出会いだった。

 出会いといっても、たくさんの精子の中から選抜されたものが卵子にたどり着いて、やっと卵になったもの。

 たくさんの別れがあって、今ここに二人の双子姉妹が誕生した。

 二人は、両親に全く似てなかった。

 むしろ、似てるところがほぼない。

 金髪の赤目、そして青目。両親はというと、黒髪、黒目。どう考えてみても、遺伝してるとはいえない。もちろん、祖父祖母に遡ってみても、結果は同じ。

 怖くなった親は、生まれてすぐにDNA鑑定を行った。

 すると、間違いなく親二人の子どもであることが証明された。

 安心すればいいのか、不安になればいいのか、親二人はわからなかった。

 それから時が過ぎ、4年も経つと、個性が出始めた。

 本を読む。それも大人が読むような厚い本を。

 運動をする。スポーツ選手も驚くような長い時間を走り続ける。

 どちらかがやるとお互い違うことをした。

 双子なのに、連鎖反応のようなことは起こらない。はいといえば、いいえという。普通の姉妹のようなものがあった。

 そして双子は、手がかからなかった。

 双子とも親二人の言うことをよく聞いて、わがままらしいことを言わなかった。

 それはあるもので満足しようとしてるのか、なにか意図があるのかを親二人は知れない。

 ためしに双子に聞いてみても、『わかってる』とだけ返ってくる。

 なにをどうわかってるのか、親二人は理解しない。

 さらに時が経つ。

 小学生になれば、才女として評判があがった。

 いじめ問題にも取り組み、暴力にも抗い、リーダーシップを働いた。成績もスポーツでも、誰しもが尊敬する人物へと変わってった。

 だが、そこからの進化というべきか、退化というべきか、変化は不思議でしかない。

 一人は中学校に行かず、パソコンで何かを作り始める。

 一人は名門中学校に行き、小学生と同じことをする。

 名門であろうと、問題はある。

 それを解決したのが双子の一人ではあるが、その裏ーーネット社会に置いての制御を行ったのがもう一人である。

 学校に通ってない一人は、収入も得てた。とある起業のシステム基盤を作り上げた。やがてそれは世界のコアとなる。

 中学校にいった一人は、そのまま高校、大学、大学院と進み、有名企業に入った。

 そして国のトップ、世界のトップへとたどり着いた。

 親はいつからか何も言わない。

 ただ家庭の仕事、外の仕事を行うだけで、家族会話というのを行っていない。

 食事。

 輸血パックを大量に使った料理を、母親は得意とした。

 父親は特殊な血縁者を見つけるのが得意であった。

 双子はかぶりと首筋に牙をあて、吸血する。 


 血が血を求む。


 二人の姉妹の正体は、吸血鬼。

 感染は、蚊によるもの。

 生体情報が優秀なのは、そのためだ。

 そして吸血したものを支配する能力、力を継承する能力、身体を強化する能力、脳を100%使う能力。様々なものを得てた。

 それが双子が世界を支配した理由だ。

 元々吸血鬼であったものたちは、幼稚園の頃に淘汰され、この世界にはいない。

 転生することもなく、世界を手にした二人は、とてもつまらなそうだった。

 何も苦戦することはなかった。何も心を揺さぶられるようなものはなかった。

 ただただ暇であった。


 やがて、双子は戦争をはじめることにした。

 姉妹で国を分けて、世界大戦をはじめた。

 地球に悪いことはしないことを条件に二人は、同じ部屋で駒である部隊を動かす。

 最終局面を迎える頃には、人の数は半分以下になってた。

 その状態になって、双子はいうことを聞かない(効かない)人がいることを知った。

 これはきっと面白いものに違いない。

 二人は戦争をやめて、その人に会おうと頷きあった。

 

 双子の希望ーーそれはたった一人のどこにもでいるような少年。


「こんにちわ」

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