誰にも見つけてもらえない

maris

第1話

「もういいかい?」

「まーだだよ!」

……「もういいよ!」

かくれんぼして、もし最後まで誰にも

見つけられなかったら、それは勝者なのかもしれない。

だけど、

小説投稿サイトで、☆も、♡もつかず

誰にも見つけてもらえない僕は

明らかに敗者だ。

そんな僕の小説に初めて♥️がついた。

しかも、応援メッセージ付きで、

「楽しいお話でした」


もう、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

また頑張って投稿する気持ちになる。

そうして、

投稿を続けた。

♡を付けてくれるのは、いつも『サクラさん』という人だった。

しばらくすると、

フォロワーになってくれ、

本当にテンションが上がった。

☆をつけてもらえるように頑張らなきゃと張り切った。

そうだ、今度は『サクラさん』を勝手にイメージしてストーリーを作ろうと。

すると

なんと☆を1つ付けてもらえた。

応援メッセージには、

「キャラクターと自分が重なり嬉しくなりました。レビューは上手くかけないので、すみません」

やった~

僕は、もはやたった一人のフォロワー『サクラさん』為だけに投稿していた、

それで満足だった。


だけど、そのうち『サクラさん』って

どんな人かな?

何歳かな?なんて気になって仕方ない。

まぁいいや、勝手に想像するから……

少女漫画のような恋愛小説で

ヒロインはもちろん『サクラさん』(本人にはもちろん内緒)で相手は当然僕。

すると、

☆2つ、応援コメントには

「私もこんな恋愛がしたいです」


ということは、もしかして、

彼氏いないのか……

どーしよう、僕は本当に『サクラさん』に恋してる……

次は、楽しくデートした後に

キュンキュンするような告白をする内容にした。


☆3つ頂けました!

「本当に、私が告白されたみたいな気持ちになりました。登場人物の彼の事が好きでたまりません」


僕も嬉しいし、『サクラさん』が愛おしい。

僕の話の中でだけど、

もう付き合っている気分だった。

もしかしたら、『サクラさん』そう思ってくれてるかもしれない。

小説投稿サイトの書き手と読み手が

付き合うことになるなんて、

誰もがビックリするだろう。


テンションクライマックスで

次は、攻めて攻めまくることにした。

きっと『サクラさん』も

彼(=僕)との進展を望んでいるに違いない。

ちょっとエロ過ぎたかな……

まぁいっか……



僕はまた☆も♡もない世界に戻った。






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