第49話 少女
その後、なんやかんやパーティー内で能力を見せ合いっこしていた。
メシアを制圧するパーティーとダンジョンに向かう日にちを合わせる事になった。それぞれのメンバーの事情を考えた結果、明日向かい、向こうで一泊、明後日ダンジョンに潜る事になった。ひとまずのところ今日は探索者協会にて泊まり、と言うことになった。
明日、明後日の練習メニューを笹目さんに伝えないといけないなと、そんなことを考えながらみんなでエレベーターに乗ろうとしていたが、僕だけみんなと乗るエレベーターとは別の隣のエレベーターに乗ることになった。乗る直前に本部の職員の人が、黒宮さんはこっちです。と僕だけ別々となった。
なんか見たことのある職員さんだなと、思っていたら、思わぬ話題、いや、考えていたが頭から抜け落ちていた話題をふっかけられた。
「例の異世界の少女をひと目みて帰ります?」
その時、この職員さんが、僕のところに少女を回収しにきた人だと思い出した。後輩ちゃんのために写真を撮って帰るか、と思いそのまま着いて行ったのは38階。
そのフロアは例にも増して真っ白な空間だった。壁には等間隔に扉がつけられており、まるで刑務所のような場所だ。
職員さん曰く、探索者協会が危険だと判断した人物がここにいるらしい。刑務所みたいだと言う感想は案外的ハズレな感想ではない。
そのまま歩き、この階層の突き当たりまで進む。
この階層にはどこにでもある白い扉。そこに着いてる小さな窓から覗くと、真っ白い個室が見えた。生活に必要最低限のものが配備されてる個室、長くいると頭がおかしくなりそうだ。
その中に一人の少女がいた。記憶の中の少女より綺麗になっており、真っ白い服を着ている。特に怪我などなく、不満を持っている様子はない。……いや、危害を加えられてないだけで、不満も、不安もあるだろう。それ自体が目に見えないだけで。
どうやら、中からは外の様子がわからないらしく、僕が覗いている事には気づいていないらしい。
「あれ、話さなくていいんですか」
「別に僕はその子と仲良くないし、何も思っていないよ」
そのまま、一枚スマホで写真を撮り、扉の前から立ち去る。僕の足音が廊下に響いていた。
笹目さん達に予定を伝える。早めに帰って、笹目さん達とダンジョンに潜りたい。未探索ダンジョンを探索するのは危険だし、めんどくさいし、僕は十分金を稼いでるから、そんなに潜らなくてもいい。構造図を見た感じ、複雑な構造をしていないため、1日2日で探索できるだろう。
僕も、杏奈も十分強いし、サザメと、案山子さんによる索敵で、特に障害もない。安全にダンジョンに攻略できるだろう。
何も問題はない、強いていうなら、メシアと一緒に目撃された、例の人斬りのことだけだろう。探索するダンジョンの中にいるのだから、僕達と遭遇することもある。素早く対処できればいいが。
そんなことを考えながら、後輩ちゃんに写真を送る。
窓からだが、結構綺麗に撮れていた。
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