第24話 塔
闇は光が無くとも存在する。いや、この説明は正しくないな。
光という事象がある限り、
光がこの世界のどこかにある限り、光が無くとも闇はこの世界の中心となり具現する。闇というどこへでも許される事象こそ、僕が操ることの唯一にして無二の存在。
僕の足元から無限に広がる闇が二次元の刃となり、殿様飛蝗の群れを襲う。的が大きいぶん殺りやすい。
闇に突き刺さる殿様飛蝗は白濁色の液体を体から流しながら絶命し、命の灯火が消えていく。が、いかんせん物量が多い。
後ろに峨々と後輩ちゃんの入ったスマホがあるので、早く殺しとかないと。
「じゃあ、刺殺か」
足元の闇から支配が伝染し、空中に広がる真っ暗闇の空間へと繋がる。
飛び跳ねてくる殿様飛蝗の群れは空中で動きを止め、身体中に小さな穴が無数に現れ、白濁色の液体が流れて絶命した。
「お見事」
「さっすが!先輩!!」
殿様飛蝗の死骸が地面に落ちる。
その上から闇が死骸を圧迫し、押し潰し、亡骸は常世の闇に消え去った。
前の方を見ると、キララが蚊の群れを、蚊の屍の山に変えていた。
「こっちも終わったよ〜」
怪我もして無さそうだ。
「昆虫が
「むしさんきもちわるいね」
左手に小さなキャンディを生み出して舐めている。
「あんまモンスターが強くはないし何とかなりそうだな」
蚊に飛蝗と、まだまだたくさんの種類のモンスターが居そうだ。
「支部長、一二三さんを呼んだか?」
『呼んだわ。まだ来てないけど』
そっかぁ、来るまで周辺の探索をするか。
「キララ、進んでいいぞ」
「わかったぁ〜」
テクテクと、リズムを刻みながら壁に当たるまで進んでいく。この階も草と蔦がまばらに生え鬱蒼と茂っており、前の階層よりは見渡しが悪い。壁際に進む程、鬱陶しいぐらいに草が邪魔になる。
柱を中心として、中心から離れるほど草の高さが大きくなっていくようだ。
壁際には何かあるのか?
「先輩、一二三さんがやってきたと加賀原さんから」
「おっけ、アシストをよろしくって伝えておいて」
「了解でーす」
「俺が連絡を取るから、鳴海さんは黒宮のスマホに移動して、モンスターの記録を取ってくれ」
「分かりました」
「かべについたよ〜」
ただの石壁のようだ。特に変わった材質でできていないが、年季が入ってる。
『はーい、帰ってきました。アシストするね〜』
「峨々と繋いでくれ、峨々が連絡を取るって」
『わかったわ』
さて、一二三さんの協力を得て階段を探すか。
「峨々、一二三さんに階段がどこにあるか聞いてくれ」
「分かった」
スマホに喋っている峨々、こちらを振り向くとこう言った。
「階段が無いらしい」
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