第13話 過去回想

 色々な問題が積み重なりすぎてる。この子供がどこから来たのか分からないし、罠である可能性もある。

 ……強奪者の罠だと考えるのはやめよう。最悪全員を半殺しにすれば済む問題だ。

 僕は子供の近くまで行き、体を揺さぶる。

 何も反応を示さず、ただぺこりと座っている子供。今さっきは後ろからしか見えなかったので、顔を確認することは出来なかったがこの子供は少女のようだ。

 さらに

 おかしい、、僕が5年間【探索者】をしてきたが、1度も内で少女とは出会ったことがないし、聞いたことがない。

 何かの異常事態か?そんなことは探索者協会からは聞いてないぞ。…………まずは、この少女をダンジョンから連れ出すことだ。この少女がなにかの能力を持っていることはほとんど確定で、それが危険かどうかなんては確認するすべがない。

 少女の安全確認が1つ。

 じゃあ笹目さん達とのダンジョン探索はどうする?

 …………どうしよ。

 一旦この少女の処遇を決めたりしないといけないので、当事者である僕、発見する要因となった紗枝、は確実に事情を聞かれるので、今日は確定で潰れる。

 なので、今日の仕事の分を何とかするのが1つ。ウチは信用が大事なので。

 他には……いや、ここで考えても仕方が無いので、少女を抱え笹目さん達と合流しよう。ここに数十秒いても何も起こらないので強奪者の罠の可能性は低いはず。少女を抱えて来た道を戻る。

 年頃の少女の体重を僕が知っているわけないが、持ち上げた感覚的に軽くは無いと思う。失礼が無いように補足するがこの少女は太っている訳では無い。が、身なりも良いので孤児とかの可能性はなさそうだ。

 さらに謎が深まる。


 笹目さん達の所に戻った。

 仲良く談笑をしている最中だったようで、僕の事を視界に入れるまで話を続けていたが、直ぐに僕と抱えられている少女のことに気づいた。

「その子は?」

 笹目さんが尋ねてくる。少女を抱えていることを不思議に思うという感じではなく、何かが起こったのでは?という心配が大きく含まれているだろう。

 明らかに怪訝な目で見られてる。

 まぁ寝息が聞こえた方に向かった男性が少女を抱えて帰ってきたら流石に怪しむだろう。そこに変な誤解が挟まれないように、どうして少女を抱えてきたかの経緯を簡潔にわかり易く説明する。報連相は大事だ。


 説明をして地上に戻る。なるべく早くだ。まだ9時回ったぐらいだが、他の【探索者】とすれ違う。全員が全員不思議なものを見る目をしている。奇怪な目で見られるがそんなことはどうでもいい。早く探索者協会に行って損は無い。

 行きの時間と同じぐらいで入口に戻った。

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