第11話 展開
蓮のシャツ1枚の姿を背景に、次の人。
「凪さんはどんな感じですか?」
「あ、蓮の姿はスルーの感じ?以外って思わなかったの」
「まぁ、他の人より動けているので、細い体だけではなく筋肉もあるとは思っていたので」
シャツ1枚の姿の蓮は、細マッチョと表現するのが似合う。
「で、どんな変化が起こりました?」
「えっとね、朝からずっとピリピリするの。ダンジョンに入ってからはだいぶ治まったかな?」
「ピリピリ?」
「そう、ピリピリ。怒ってる擬音語じゃなくてね、肌がピリピリするの」
笹目さんと似たような感じか。だがしかしその感覚の原因がわからん。もう少し過ごしたら何かしらわかりそうだな。どれだけ自分の能力に向き合えるかが大事だ。
最後は、紗枝の能力確認で終わる。
「じゃあ、紗枝さんはどんなことが出来ますか?」
「異常に聴力が強くなってる気がします」
「それはどのぐらいの音が聴こえる?」
「えーと、呼吸音、風の流れ、今、笹目くんの靴擦れの音が聞こえました。あと、」
「あと?」
「不思議なことに誰かの寝息が聞こえます」
「ダンジョンに紛れ込んだ動物とか、モンスターの寝息なんじゃないのか」
そう返したが、モンスターが寝ているなんて報告は聞いたことがない。奴らも生物であるから睡眠が必要性であるに違いないのだが、奴らの寝ている姿を見かけたという報告や事例は無い。
もし、モンスターが寝ているとするならばこれはすごい発見じゃないのか?
「どの方向から?」
さらに進むと分かれ道が二つある。どちらから聞こえてくるのだろう。ちなみに【ボス】へと続く道は右だ。
「向こうの方から左寄りに、、聞こえます。どこか、人間の赤子のような深い寝息です」
人か?どうしてこんなところに?一般人は入らない筈だぞ。
「それは本当に寝息か?」
「………はい」
「寝息の数は?」
「…………一つです」
なるほど、かなりの異常事態だ。一般人がそこそこ深くの階までやってこれること事態がおかしいし、ダンジョンで寝るなんて危機管理能力が無さ過ぎる。では、動物か?いや、浅い階のモンスターなら動物でも、殺せる可能性はあるが、一般人と同様、この階まで来れるのがおかしい。
では、モンスターか?一番それであってほしい。モンスターが睡眠行為をとること自体が異常なのだが、それぐらいなら寝込みを襲って倒せるし、僕たちにそこまで危険がない。考えられる中で一番安全だ。
考えられるうちで一番最悪なのが、他のパーティーだ。
いや
「あの、何か危険なものなのでしょうか」
「いや、危険では無いと思う。僕が確認してくるので周囲の警戒を怠らずに、5分あれば帰ってくる」
その寝息の原因を見つけないと、めんどくさくなる。
少しだけ駆け足で音を立てずに向かう。
二手の道を左に曲がり進むと、そこには子供がいた。
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