第8話 僕の命なんて明日には消えているかもしれない
あの後色々と質問があったので答える。主にボスや、身のこなし方とか、戦闘の仕方だったり、向上心が高くて、すごいと思う。
質問を答え、ダンジョンから帰宅。もちろん帰りも歩きである。
帰るまでが探索なのだ。
探索者協会まで帰ってきた。現在夜の22時である。月が町を照らし、闇が世界を包み込む。夜になるとダンジョンの中からはモンスターが這い出て、一層静寂が支配する。
夜は、昔と比べて随分と物騒になったものだ。下手に出歩くことが出来ん。
依頼人である
今日から依頼が
ちなみに、探索者協会の部屋に泊まるのなら【探索者】であると無料なため、とても利便性が高い。まぁ部屋を使わせてもらうのが無料なだけで、ご飯などは自分で用意しなければいけないのだが、僕ほど外泊をする人間からすると神様、女神様と崇めるほど助かっている。
1階にある受付にて、部屋の鍵を貰う。
「また、ご利用ですね。
「まぁ仕事なんで、家に帰ったりしませんよ」
話しかけて来たのはこの探索者協会で受付を、僕が知る限り5年以上している
僕よりも年が上なのだろうが、かなり若く見える女性だ。僕がここを利用して5年、かなり世話になっている。
「ほら、
僕は基本的、いや日常的に後輩ちゃん呼びだから馴染みが薄い。まぁ、薄いと言ったら後輩ちゃんはプンスカ頬を膨らませ怒るだろうが、僕は鴻海ちゃんとか、春ちゃんなんて呼ぶことに慣れていないし、その呼び方だとなんだか恥ずかしいのだ。
「まぁ、そうですね、同居しています」
「家で一緒に過ごさないのですか?」
家で一緒に、僕が家にいる時は一緒、いや磁石かと突っ込まれるほどベッタリなので、それで十分なのではなかろうか。最近はスキンシップというか、ずっとくっついてることが自然になり過ぎて僕と、後輩ちゃんの距離感バグってんなと思えてきた頃だ。いや、確実にバグってきてる。来年には、合体してるかもしれない。
だが、そもそもとして僕と後輩ちゃんは付き合ってない。
「一緒に、、過ごしてますが」
「あぁ、普段の過ごし方ではなくてですね、空いた時間とかを使って家に帰らないのかと。ここに泊まるより、家に帰らないのかと」
それは、
「時間が厳しいですから、朝早くから探索するのが多いので家に帰っている時間がありませんよ」
「そうですか。けど度々家に顔を出した方がいいですよ。この前の依頼はダンジョンに1ヶ月ほど潜っていたでしょう。仕方がない事だと思いますが、家族と過ごす時間は大切にした方がいいですよ。【探索者】という死にやすい仕事に就いているので尚更」
……家族か、後輩ちゃんとは家族ではないのだが、普段の僕達の関係性からは、そう見えるに違いない。
「おっと、長話が過ぎましたね。こちらが部屋の鍵です」
死にやすい仕事、か。そんなことは、
僕が明日死んでしまうことが有り得るのも、後輩ちゃん、鴻海 春は承知の上だろう。
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