第7話【ボス】

 解説!!!

 今、僕達がいるダンジョン【環境不変ダンジョン-186-b】は、同じような洞窟の景色が続いている景色がつまらないダンジョンだ。ダンジョンの景観面白さを求めるのはどうかと自分でも思うが。

 主に出てくるモンスターは、凶暴なイヌ、でかいネズミ(人によってはトラウマモノ)の2種類だけ。成人男性なら慎重に立ち回れば倒せるし、武器を持っているなればなおさら簡単に倒せる。

 今回は、僕がモンスターの処理をしていたのでパーティーメンバーが戦うことは無かったのだが、明日からは戦わせても良い。


 というわけで、早く【ボス】を倒して帰ろう。

「皆さん見てください。あれがこのダンジョンのボスです」

 と、僕が指さした方向にはイヌの頭を持ちながら、ネズミの体をしている、どっちか分からない生物だ。ああいうのが自然界を制していくのだろう。今から僕に倒されるが。

「あれは、【探索者】達からは、【どっちつかず】と呼ばれているモンスターです。キメラ種と呼ばれる縫合した体を持つ気持ち悪いのとは違い、あれは進化の過程で成ったとされてるらしいです」

 知人から聞いただけで本当かは知らんけど。ちなみに、道中で出てきたのは進化種と呼ばれる地球の生き物が更に凶暴になったような生物である。

「うわ、気持ち悪っ」

 元気っ子、なんて酷いことを言うんだ。あのきしょいのも過酷な自然環境に対応しようと努力した成果だぞ!とまぁ、冗談はさておきかなりキモイ。

 ほんとにキモイ。

 でかいネズミと言うだけでもキモイのに、頭がイヌというアンバランス差が更にきしょさを際立てる気がする。気がするじゃなくて事実だが。

 まぁ、【ボス】のことをそれ以上悪くいうのは良くないので、早く倒しましょう。

「僕が今から相手しながら解説するのでよく聞いててください」

 僕が隠れている場所から勢いよく飛び出して、【ボス】の前に出てくる。【ボス】は気づいたようだ。

 勢いよく僕に向かって飛び込んでくる。体がでかいのであれだ、トラックが迫ってくるようだ。

「皆さん、【どっちつかず】は、基本的に特殊な能力を持っておらず身体能力だけで勝負してきます。ですので、よく見切ったら」

 僕はタイミングよく横に飛ぶと、

「このように避けることができます」

 攻撃を回避した。

 パーティーメンバーは最初、僕に襲いかかってくるモンスターに目を塞いでいたが(どうやって戦うつもりなんだ)今は、しっかりと戦いを観察している。成長した……のか?

 まぁいいや。

「このように回避しながら攻撃をしてください」

 また突っ込んで来るので躱す。

 回避したところで、横っ腹に蹴りを入れると、柔らかいところに当たったのか、 激高して爪を振り下ろしてくる。

 単調すぎるので読みやすい。

  回避。

「はい、分かりましたか?分からない所、教えて欲しい所があるのなら申し出てください」

 とりあえずこいつに用は無くなったので、縫い留めておこう。

 僕の影が、地面を這い、周囲の闇を取り込んでさらに肥大化し、襲いかかる。【ボス】の回避は間に合わずに四肢に闇が刺さる。

 簡単だな。

「あの、質問ですけど…」

 安全になったので、パーティーメンバーの皆さんはこちらにやってくる。全く【ボス】のことを怖がって無い様子だ。初ダンジョンだったり、モンスターの殺傷を見て感覚が麻痺ってるのだろう。

「なんでしょうか?」

 積極的に質問してくれると、こちらもかなり助かる。なんせ初心者に経験を売る職業だからな。

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