The story of iroas seeking peace
月出 四季
プロローグ
――かつて、神様が創ったこの世界。
そこでは今日も、たくさんの人が泣いていた。
「悪いのは私じゃない。こんな容姿だって、私が望んで貰ったものじゃない!」
容姿のせいで魔女と忌み嫌われた少女が。
「私には何もできないんだ。もし、力があったなら。」
守ることも戦うことも出来ず、力を求める青年が。
「何がダメだ?体と心の性が違うのはダメだった?…そんなの、理不尽だ」
周りからの差別の目に耐えられず、理不尽を叫ぶ少年が。
「世界はね、幸せじゃないといけないの。だって、そうじゃなきゃ報われないから」
明るい姿に影を隠し続けた子供が。
かつて、神様が創った世界。
そこでは今日も、たくさんの種族が嘆いていた。
「世界が幸せ、なんて無理な話だ。だって、神様が幸せじゃないからな」
幾つもの命を奪ってきた死神が。
「こんな世界、嫌いだ!どこにも意味はない!全部、滅んでしまえばいい!!」
神様を、世界を恨んだ悪魔が。
「私はここにいるよ。こんな寒い中でも、帰りを待たなきゃ。」
冷たい牢の中で、親友の帰りを待つ堕天使が。
「僕が探さないと。だって、どこかで泣いているかもしれないから。」
行方知らずの兄を探すために下界に降りた天使が。
――………
……か、………て
…れか、……けて
…れか、た…けて
だれか……………
“だれか、たすけて。”
――かつて、神様が創った世界。
世界を見守る神様が、一人寂しく呟いた。
頬から、流れ落ちた雫が、世界の海に落ちたと知らずに。
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