第296話 普通のボス部屋・孤独な竜戦士
四つ目のボス部屋は体育館くらいの部屋に魔物が五体。
標準的な装備の剣士リザードマン一体、格闘家オーガ一体、槍兵オーク一体に、ゴブリンとコボルトの
魔力反応からどれも1万Gには遠く及ばない程度。だからと言って弱いことも無い。
「ん~……中に入りたくないですね」
先遣隊の亡者10人で攻略した結果、部屋の特性はフォーマルな集団ボス部屋であると判明。ただし中々に強い。全滅させるのが難しかったので一旦撤退した。
リザードマンは守護戦士タイプで、優れた防御スキルとウェポンブレイク、シールドブレイクなどを多用してくる。様子見で戦った亡者の武器がことごとく破壊された。バーバラさんに謝らねば。
攻撃スキルはあまり持っていないのか、使ってきた様子はない。その分隙が無く不意打ちも難しそう。高速移動スキルは縮地。魔術師を狙うと飛んでくる。
遠距離からの魔術は、単発でも範囲でも妨害される。
張れて無詠唱となった俺の
攻撃魔術は余り使ってこない。ただ攻撃の手を緩めるとコボルトは
また、どっちも
オーガは爪を装備した格闘家だが、その怪力を活かして縮地で近づいて掴んで投げるを多用してくる面倒な奴。
打撃なら防御できても、掴みはそうはいかない。人の体重なとたかが知れているので、巨体のオーガにつかみかかられたら避ける以外に手立てがない。
必ず味方めがけて投げてくるのもうっとおしい。こちらを倒す事より撹乱することを目的に動いているようで、一度捕まると全体の連携を大きく見だされる。
槍オークは肉壁件アタッカー。槍系防御スキル旋風槍で魔術や矢と言った遠距離攻撃を防ぎつつ、
こいつはHPが高く自己回復が強力で、身体を張って見方を守ったりもするので厄介。
手堅く勝つなら打ち消せないだけの範囲魔術を、部屋中に打ち込んでやるのが一つ。
また封魔弾を使えば打ち消されること無く前衛を攻撃できるので、これを使ってリザードマンとオークは倒せた。
するとオーガが魔術師二人を掴んだまま縮地で部屋の中を逃げ回る様になり、追いかけている間にリザードマンとオークがリポップした。リポップ周期は5分ほどらしい。
「リザードマンはワタル殿に任せるのである」
4人にアルタイルさん、アル・シャインさんを加えた6人で挑戦。
部屋に侵入と同時にワープで魔術師を狙うがこれは不発。さすがに警戒されている。
予定通り俺がリザードマンを相手。
霞斬りなら相手のスキルの影響を受けないから、武器破壊などのリスクを減らせる。
「……くっそ硬い!」
侍のスキルだと相手の防御ごと切り裂く威力がない。武器も盾も時間をかければ破壊できるだろうけど、魔物武器なので定期的に再召喚して復活してくるのも面倒だ。
ただ、俺がこいつを引き付けていると残りの対処がしやすい。
「攻めが一辺倒なのであるっ!」
「そんな動きに捕まるかよ!」
コゴロウがオークを、アーニャがオーガをそれぞれ相手にしている。
コゴロウはリーチで負けているが、スキルの多彩さ、そして何より腕でオークを圧倒できるようだ。的確にダメージを与えていく。
アーニャは高速移動を使いオーガを翻弄する。振り向いた瞬間には逆側から攻撃されるレベルで早い。
自分の動きが早すぎて、まだ
タリアとアルタイルさんの二人は魔術師たちに攻撃魔術を打ち込んで、打ち消しを誘発している。
おかげで魔術師のサポートが飛んでこないのがありがたい。
一人づつ抱えている魔物が二人に狙いを変えると、アル・シャインさんが間に入って防御する。彼の防御は中々に鉄壁だ。オーガの掴みすら上手くスキルで防いでいる。
戦い始めて1,2分で体勢は喫した。
真っ先に落ちたのはオーガ。倒したアーニャがそのまま魔術士に向かうと、リザードマンとオークが防御に入る。そこに
アーニャの防御に入ったリザードマンは、俺の攻撃からゴブリンを守れず魔術師1体が霧散。
アルタイルさんとタリアの魔術でコボルトが落ち、アーニャとコゴロウの同時攻撃でリザードマンも沈んだ。
ドロップは魔石を一つだけ回収。部屋の名前は普通のボス部屋とする。
……この部屋、2次職のパーディーでもかなり難易度が高い。
「次でとりあえず最後ね」
「最後の一つもなかなか厳しい」
最後の一つは8畳ほどの部屋の中に、剣と鎧と盾で完全武装した角の生えたリザードマン……おそらく
部屋が狭すぎるのでタラゼドさんを筆頭に少数をぶつけてみようとしたところ、先頭のタラゼドさんが入った段階で後続が締め出された。
どうやら以前カマソッツに使われた
「ちぃとばかしMPがある間はやってみるぜ」
そう言って竜戦士とタラゼドさんが戦うが、ちょっと分が悪い。普通に1万G級の能力があり、防御性能高めで、移動スキルは緊急回避。
しばらく戦って決め手がないと、MPギリギリで部屋の外に退避。追いかける気はないらしい。
「では次は某が」
生身だというのにいそいそとコゴロウが挑戦する。
狭い部屋の中で正面からがっつり斬り合うのは、かなり神経をすり減らす戦いだが大丈夫なのだろうか。
ここまでの戦いでだいぶMPを使っていたコゴロウは、数分でMP切れを起こして離脱。
みんなMPがかなり減ってるし、ここの攻略は今日は無理だな。
部屋の名前は孤独な
6階層のボス部屋はこれで一通り。
まとめてみると……。
・無限コボルト地獄
高速で逃げ回るボス光球を、瞬時無限リポップするコボルトを避けながら倒す。コボルトの強さは150G程度で一番雑魚。中級範囲魔術でコボルトごと倒せるが、光球は1分ちょっとでリポップする。
・大ゴーレム部屋
硬くて大きなゴーレム1体をと戦う部屋。硬いので高火力、集中型のスキルじゃないと倒し切れない。
普通に高速移動をするので、単騎で突っ込んで狩るのは至難の業。10分ちょっとでリポップする。
・幽霊部屋
物理無効のレイスと、ワイトキングが居る。対抗可能な魔術や武器を持ち合わせていないと対処困難。
ワイトキングは魔術師タイプで、暗黒属性の魔術をそれなりに使いこなすが、特別強いと言うほどでもない。こいつ倒すと勝利。
レイスはやみくもに突っ込んで来るだけなので、数以外は何とでもなる。きっと神聖魔術の
・普通のボス部屋
5体の魔物が連携して襲ってくる。各々は5000Gちょっと位の能力と推測される。
同数だと普通の2次職では突破困難。つまり、普通に攻略すると10人以上、出来れば15人程度の2次職が居るのが安定と考えられる。難易度がかなり高い。各々のリポップが5分ほど。
ここも範囲魔術で飽和攻撃を仕掛けるのが一番安全と思われる。
・孤独な
8畳ほどの小さな部屋に、剣と鎧で武装した1万G級の
部屋の外からは支援が利かず、一対一で撃破しなければ成らない。
こんな感じ。
明らかに5階層とは違う守りの攻勢。冒険者ギルドが攻略しようとすると、2次職3次職の混成チーム30人から40人ほどが必要。6階層であることを考えると、サポートに5階層まで突破できるチームが複数。200人態勢でクリアできるか、と言った所か。
・・・・・・6階層で大人数が必要なギミックとか、頭がおかしいと思う。
ここのダンジョンコアが何を核としているのか知らないけれど、このレベルの難易度に相応する価値があるとは思えない。それにしては基準となる中身無しが弱すぎる。
なのにもかかわらずこの難易度なのは……上層でダンジョンへの資産投入が行われているのと、きっと俺たちが居るからだろう。
攻略できる可能性が高いものが近くにいれば、難易度が高すぎてコアの核が無価値になることはない。
またマッチポンプでハードル上げてる気がしなくもない。
……
幸いにしてロンリー以外は倒せているので、後は人数とタイミング。
今回はバーバラさんが欠席だったし、人数は亡者で揃えられるので、おそらく何とかなるだろう。
予定通り、経験値稼ぎをしてレベルを上げることにしよう。
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現在4話公開中のスピンオフ、アーニャの冒険もよろしくお願いいたします!
アーニャの冒険~鍛冶の国の盗賊娘~
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