第218話 一時付与・炎雷剣
『ワタルが落ちた!』
タリアからの分かり切った
ちくしょう!腕に巻き付いたのはイソギンチャクの魔物か!大した価値もないくせにっ!
あっという間に身体は海中に引きずられていく。
魔物の位置は分かるが視界は確保できない。それに冷たい!行きもそう続かないし、このまま水中に居るのはまずいな。だがまともに泳いでもすぐにつかまる。
自身に
プロペラ、水圧に持ってくれよ!
両手両足にビットを持って、身体を海上へと押し上げる。相手はこっちがのがれたことに気づいたか。
だがこちらの方が速い!
『見えたわ!』
『ええ!此方と彼方の二つを繋げ!
その瞬間、身体が船の上に放り出される。アルタイルさん!また無茶を!
「影の扉よ!いずこかへ開け!
海に落ちたアルタイルさんを、
「助かった!」
「なんのこれしき。今度は生きてますな!」
「もう死んでるっての!」
気を抜くとあっという間に不利になるな。
立ち上がろうとしてたたらを踏む。くそっさっきから揺れるな。
ええっと、敵は……イッカクの群れらしき反応は残り4。ライダーあり。
メタルライダーは残り3かな。あと厄介なのはあのサハギン野郎だ。
味方の戦力は……負傷とMP切れて戻っているのが7人か。ちょっと劣勢。
『あのサハギンを甲板に引き釣り上げたい』
『やろうと思ってるけど、捕まらないのよ!』
『アルタイルさん、もう一回行けます?』
『姿が見えたら入れ替わりましょう』
『タリア、アルタイルさんを拾って』
それじゃあ相手を引っ張り出さないとな。
海中から船を囲うように壁を発生。魔物たちの攻撃を根こそぎ阻む。長時間は持たないが明確に見える壁は水中の味方の負担を軽減する。
『壁は何回か針直せます!水中組は船を気にせず魔物の各個撃破を!』
タリアが釣り上げた雑魚魔物からMPを吸収しながら、
海上に飛び出した方はアル・シャインさんが防いでくれる。彼の方が防御スキルは得意だけれど、MPが足らないからこういう防御は難しい。これは俺の仕事。
そしてこの状態ならこちらは数で押せる。相手は数分でしびれを切らしす。
「下がダメなら、上から海綿にしてくれるっ!」
水中からサハギンの親玉が飛び出してきた。
「此方と彼方の二つを繋げ!
「
アルタイルさんがサハギンと入れ替わった瞬間、その場所に向けて強化した剣を振り下ろした!
ガキンッ!
甲高い金属音がして、俺の剣は相手のトライデントに防がれた。読まれていたかっ!
「ゆるいわっ!」
「三枚におろしてやる!」
エンチャントを乗せた連撃は、サハギンの槍に阻まれて当たることが無い。
こいつっ!思った以上に腕がたつ!
「はっ!」
相手の突きを盾で受ける。この間ダメージを受けた盾がさらに削れるっ!
「この!」
まだ初撃に乗せることしかできないが、防御されたところへの追撃は、確実に相手のHPを削っているはず!
「五月雨突き!」
「っ!」
敵の乱打を、一撃は剣でいなし、二発目は盾で流し、残りは
「一対一と言うわけでもないでしょう!飛翔斬!」
ハオラン!?
「それはこちらも同じよ!」
サハギンの左腕に張り付いたイソギンチャクが俺の盾に絡みつくと、飛翔斬の進路に向けて引っ張ってって!?
「!?」
盾がしまわれた結果、イソギンチャクの触手が飛翔斬によって切り刻まれた。あぶなっ!
「テンタクルスが!おのれっ!」
横凪の一撃が当たったかと思った瞬間、サハギンの姿が掻き消えた。
次の瞬間、背後に現れた奴の攻撃で、ハオラン・リーが吹き飛ばされたのが魔力反応で分かる。
高速移動スキルか!種類はなんだ!?
「この!」
「スキル無しなど!」
幾度目かの交錯。力いっぱい振り下ろした剣と、トライデントの先端が交錯する。
ギンッ!
金属の破断音。鈍く輝く刀身が、くるくる回ってマストの支柱に突き刺さった。
俺の剣が折れた!?
「っ!押し返されただと!?」
相手も予想以上の力に弾き飛ばされたらしい。
くそっ!ステータス参照量をもっと高くするんだった!
嘆いてる暇はないので
スキルの正体は
「船が壊れれば終わりだろう!?」
足元を狙うつもりか!
相手がトライデントを真下に向けて突き立てようとしたその時。
『戻りましたよ。
べぎゃっ!っと鳴っちゃいけない音がして、サハギンと共に甲板がへこむ。
アルタイルさんが船上に復帰した!
『
そこにさらに氷の刺が伸びる。タリアの水槍アパーム・ナパートのスキルか!
サハギンは緊急回避で避けるが、氷の刺の一つが足を捕らえたらしい。ダメージは入っている!
なら、一気に!武器は……ええい!
「
右手の折れた剣を媒体に、炎の刀身が浮かび上がる。
「
無手の左手に、雷光の刀身が伸びる。
「合わせて、一つに!
「おおおっ!炎・雷・剣っ!」
「!?」
緊急回避を抜けたサハギンは、とっさにトライデントでその刃を受け。
実体の無い刃を受けることが出来ずに、頭から切り割かれた。炎と雷光がその身を焼く。
「ぐはっ!?」
「ダメ押しのっ!」
折れた刃が相手の身体に突き刺さったその瞬間、
剣先から発動した衝撃の槍が、相手の身体を四方八方に吹き飛ばした!
断末魔の悲鳴を上げる時間すらなく、サハギンの好敵手は霞となって消える。
『大物撃破!』
『よくやった!おめぇら!残りも気を抜くんじゃねぇぞ!』
船長からの
それから約10分。俺たちが乗る二番船を取り巻く魔物たちは、きれいに撃破されたのだった。
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□あとがき
いつもご愛読いただきありがとうございます。
明日、または明後日のどちらかじゃ週一の更新お休みとなります。
今後とも応援よろしくお願いたします。
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