Nothing:episode2 1. 過ち

 昔、むかし、須見とはまだ普通にお友達であった頃、

「ねぇ、加登かど。一緒に住まない…?」

「いいよ?」

 どこで話したか憶えてないけど、ご飯食べに行かない?くらいの軽いノリで言われた記憶がある。そして、軽く返事した記憶があり、いつの間にかルームメイトになった…。

「だからさ…。前にも言ったよな…」

「はい…」

「連れ込むなって…」

「そう、ですね…」

 そう、だった…。その軽いノリで言われた後に、条件があると言われて、お互い連れ込まないこと。と釘を刺されていたのにも関わらず…。

「俺、出て行こうか…?」

「いや、俺が…」

 思わず、須見すみの腕を掴んだ。

「触るな…」

「え…?」

 色々な過程があったけど、須見のあの顔だけは憶えてる。

 汚らわしいモノを見るような目で、冷たい声。それを再び見ることになったのは、数ヶ月後の話…。

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