今日はね、僕が泣いた
@kanzakiyato
今日はね、僕が泣いた。
『今年の花火一緒に見れなかったね』
「せやなぁ俺部活の試合やったし。今年は一緒に見たかったんやけどなぁ」
『今年は見れなかったけどまた来年一緒に見よ』
と君が言った。僕はその言葉に小さくうなずいた。
『約束ね。忘れないでよ』
と君は笑った。でもその顔はどこか儚かった。
僕が君の病室に行くと、君はいつも挨拶もなしに今日はね、と話し出す。
たまには感謝の一言ぐらい言ってほしい、なんて心の中で言いながら、
でもやっぱ、そういうところも僕はたまらなく好きなんよなぁ、
なんて思ってた。
今日も君に会いに行った。でもその日はいつもと違って、
君はベッドの上で膝を抱え丸くなって泣いとった。
今はそっとしておこう。僕はそっと病室のドアを閉めた
翌日君はあの花火となった。
空にぱっと浮かんではあっけなく散ってゆくあの花火のように。
僕は1つ後悔をした。
君がいなくなった病室でただ1人呟いた。
「僕は君が好きだったのになぁ」
今日はね、僕が泣いた @kanzakiyato
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます