空手少女の異世界譚 じゃ。

ただの導入じゃ。

 眠ったと思ったら、真っ白で何もない無機質な部屋にいた。


 床と壁と天井の境界が曖昧に滲んでおり、ぶよぶよふやけて変形したり、元に戻ったりした。


 私は高校のセーラー服を着てスニーカー履いていて、ぼんやり佇んでいたが、床を踏みしめている感触がなく、雲の上にでも立っているようで、なんとなく現実味を欠いた空間だった。


 正面には、透けそうなほど薄い布を一枚纏った美人が佇立し、私を見詰めていた。


 目が大きく、鼻筋が通っており、そしてボインのちゃんねーだった。


 毬のように豊かな胸(揉みしだきたい)、上品で儚げな樹木のように細い腰(抱き締めたい)、陶器のように滑らかな脚(そっと指を這わせたい)……。


 そそるボディだったので、


「素敵な夢じゃなぁ」


 呟くと、


「夢ですが、夢ではありませんよ」

 

 女性は答えた。


 トトロにもそんな禅問答めいた台詞があったような気がした。


「どういうこと?」


 訊ねると、


「剛力りつほさん、貴女は死にました」

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