第11話 鍛錬をするぞ、カイル

 昼ご飯を食べ終わった後、僕は父上に呼ばれて鍛錬をする場所に呼ばれた。


「じゃあカイル、俺からは武術について教えていこうと思う。何か教わりたい武術とかあるか?」


「剣術と弓術をやってみたい!」


「そうか。剣術はしっかり教えれると思うが、弓術は冒険者から教わった程度だぞ?」


「うん。全然大丈夫だよ」


 ほんとは弓術メインで教えてもらいたかったけど、父上のメイン武器は剣だから、剣と弓術両方教わるのが一番いいんじゃないかと思ってそうすることにした。多分父上の事だから弓術もめちゃくちゃうまいけどね。剣術と弓術の両方をある程度まで鍛えることが出来たら、もし魔法が上手く使えなくても、近距離、遠距離、全ての距離でどのような状況でも戦うことが出来る。だから、剣術と弓術がしたかったんだ。


「分かった。じゃあ、剣術、弓術、馬術をこれからは教えていこうと思う。馬術は兵を率いる将には必ず必要な技能だからな」


 確かに戦争になった時に、ちゃんと馬に乗れないのは致命傷だ。その概念が抜けていた。


「じゃあまずは剣術から?」


「いや、まずは基礎体力をつける。カイルはまだ基礎体力がないからな」


「分かった。頑張る!」


「おう、その意気だ」


 よーし!基礎訓練は前世でも嫌だったけど、今なら大切さが分かる。大人を経験した今なら。


 しっかりと基礎から頑張ろう!


 こうして、カイルの鍛錬が開始された......


 ◆


 カイルの訓練が始まって一週間した後の夜......


 アレスとクラリスはカイルのことについて話し合っていた。


「ねぇ、アレス、カイルとの鍛錬はどんな感じ?」


「順調だぞ。体力もついてきたし、素振りもだいぶ洗練されてきているぞ」


 アレスの言う通り、カイルは異常な速度で成長をしていた。才能値がBであることに加えて、前世の知能も備えているカイルは、スポンジのように技術を吸収したのだ。


「そうなのね。魔法も、1日目で魔力を感知して、私に放出するところまでいったのよ。それに、私と同じく全魔法に適性があるみたい」


「そうなのか。カイルは俺たち両方の良さを引き継いでいるみたいだな」


「そうね。でも、少し心配なの。」


「なんでだ?」


「カイルが自分自身を過信してしまうんじゃないかって」


「そうか? そうなるようには思えないけどな」


「無意識でもそうなってしまうものよ」


「まあ、でもそうならないように俺たちが注意してみていればいいんじゃないか?」


「そうよね。今は、カイルが強くなれるように努めましょう」


「そうだな」


 クラリスは、強者であるため、カイルの孕んでいる危険性に気づいていた。


 カイルはこの時こんな会話が為されていることは知る由もない。

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