優愛ルート END
結婚式が終わり、パーティ会場へと場所を移したオタク君たち一同。
各テーブルには、列席者たちの名前が書かれた札が置かれており、自分たちの名前の札があるテーブルをそれぞれが探し出し着席していた。
『ちょっと、それマジ見たかったんだけど!』
そのメイン卓で新郎のオタク君と新婦の優愛に、スマホのビデオ通話越しに話しかけているのは詩音である。
スマホの持ち主である歌音に、先ほどの結婚式の内容を聞かされた詩音。
その時の様子を生で、それが出来ないならせめてビデオ通話越しに見たかったと来れなかった事を後悔していた。
「いやいや、流石に式の最中にスマホを出すのは失礼だから無理ですぞ」
『それならこっそり盗撮してきてよー』
「ってか別に泣いてないし! ちょっと目にゴミが入っただけだし!」
「いやぁ、その言い訳は流石に苦しいんじゃないですか」
目を真っ赤にはらしながら、必死に泣いてないと言い張る優愛に、オタク君たちがヤレヤレと言った感じで笑い合う。
そんなオタク君たちを、少し離れたテーブルで眺める五人組。
オタク君が所属しているギルドマスターとその妻、とろろんマン、おえっぷ、そしてめちゃ美である。
ギルドマスターがテーブルの札を見ながら、深いため息を吐く。
「ってか、本名わざわざ教えたのに、これはどういうことだってばよ」
テーブルの上には、本名ではなくそれぞれのハンドルネームが書かれた札が置かれている。
「いやいや、お前らまだマシじゃん。俺なんて結婚式会場で喧嘩打ってるような名前じゃん」
そう言って「おえっぷ」と書かれた札を見せると、周りも「まぁ確かに」と同意と同情の混ざった眼差しを送る。
こんな祝いの場で、その名前だけは呼べないし呼ばれたくないなと思いつつ。
「それ言ったら自分も大概っすよ。自分大好きナルシストみたいじゃないっすかこれ!」
そもそも「下木芹」って本名を知っているのに、何故わざわざネットゲームメンバーの卓に入れられ、「めちゃ可愛い真美」という札を置かれたのかと怒り心頭に発しているめちゃ美。
ちなみにネットゲームメンバー卓の人間が本名出なくハンドルネームの札が置かれているのは、オタク君のお茶目である。
ネットで知り合いった友人を、ハンドルネームで結婚式に招待するというネタをやってみたたっかので。やられた方はたまったもんじゃないだろうが。
恥ずかしそうに札を隠そうとすると、その行為が余計に目立ってしまい、周りに見られ何とも言えない苦笑をされてしまうネットゲームメンバーたち。
色々と恥ずかしい思いをした彼らだが、今後の持ちネタの一つになったので、これはこれで良い思い出である。
オタク君と優愛のメイン卓では、代わる代わる誰かが挨拶をしていく。
泣いたり笑ったり、ふざけたり怒ったり、内容は千差万別だが、どれも幸せに満ち溢れていた。
「おーい、皆で記念写真撮ろうぜ!」
誰かがそう声を上げると、一人また一人とオタク君と優愛の周りに人が近づいていく。
参加者全員が集まったところで、誰がシャッター取るんだよと笑いが起きる。
気を利かせたスタッフが、カメラを構え全員が映るように少しづつ下がっていく。
「それでは撮りますよ」
どうやら、全員が画面に収まる場所まで来たようだ。
最終話
『はい、チーズ!』
映ったのは、幸せの形である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます