ひとり旅

ももいくれあ

第1話

久しぶりの電話の声に、

 嬉しさを隠しきれない。

ひそかにててた一泊旅行は、

 昔からの夢だった。

ゆったりとしたその空間に、

 心も体もひたっていた。

探しあてた秘湯を目指して、

 夜の高速にもぐり込んだ。

初めての行き先は、

 やっぱり山の奥だった。

木の香りに包まれた、

 柔らかくて、優しくて、

おいしい泉がそこにはあった。

濡れた浴衣の襟が、

 冷たくなるほど夜を歩いた。

あの部屋の畳の臭いが、

 いつまでたっても離れない。

あの日の香りを思い出したくて、

 今日もあの空を眺める。

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ひとり旅 ももいくれあ @Kureamomoi

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