第9話 先祖さん

「松平殿!私たちがこの清州にご招待した理由は、もうご存じでしょうが、この我ら織田家とそなたらの松平家で『同盟』を組みたいと考えておるからでございます。」




「私たちも、織田様の評判は良く聞いておりました。そのため、わしらも同盟を是非組みたいと考えておりました。恐縮ですがその同盟を受けたいと思います。これから是非共に戦いましょう!!」




「はいっ!!!よろしく頼みます!」




家康ってあまり大将とかが出来るようなタイプではないな。


どちらかというと軍師のようなタイプだけど・・・


俺が少し時代をかえたせいで影響が無ければいいけど。




正直に言うと、『徳川家は同盟ではなく、織田家の家臣として置きたい。』


俺が本能寺の変さえ阻止すれば徳川家だってもう必要じゃなくなる。




俺には夢がある。『征夷大将軍になる』という!


俺が征夷大将軍にさえなれば、光秀も易々とは裏切れない。




次はこれから起こる美濃攻めに対して、重臣たちを集めて会議をするか。


それにしてもあの謎の俺の先祖を名乗る人物はなんだったのだろうか。




「謎の人物呼ばわりとはひどいな。慶一郎」




「なっ!この声っ!俺の先祖だって名乗る謎の人だ!」




「あっ!!!またかよっ!!!」




「でっ、ところで今日は何を話にきたの?」




「あぁ、今日は美濃攻めについての進言だ。」




「そうなの!?進言なんかしてくれるのか。」




「まず、斎藤義龍は必ず室町幕府と接触をしてこようとするだろう。慶一郎はそれと止めろ。」




「あぁ。わかった。」




「ここで止めなければ後々大変になるぞ。お前はこの世界を現段階でも相当変えてしまっている。史実では幕府軍はこの戦いでは参戦しないこととなっているが、この世界ではいつ参戦するかわからん。」




「そうなのか。把握した」




「よし、室町幕府さえ参戦させなければお前は勝てるだろう。」




「ありがとう。それだけ気をつけて頑張るな。先祖さん!」




「あっ!忘れていた。お前に1つ伝えなくてはならないことがある。」




「なに?」




『明智光秀だけには最大の警戒をしけ』




「なんで、十兵衛だけ?」


しかもこの謎の先祖、なぜ『光秀』という名を知っているんだ?この頃は確か十兵衛呼びが一般的だったはずだ。




「詳しいことは言えん。また何かあったらすぐお前の頭の中にくる。」




「ふっ了解!あっ!」




「なんだ慶一郎?」




「先祖さんの名前を教えてくれない?」




「名前は言えないが、もしかしたら案外お前の近くにいる人物かもしれないぞ。」




「何!?俺の近くに!?」




「じゃまたな!わしの代わりに頑張れよっ!」




「ちょっと待ってよ!あっ切れちゃった。」


俺の代わりとはどういうことだ?




俺は信長の子孫なのか?


それとも俺の近くにいるという事は自分ではなく他人か?




いやっ!まずはそのことより重臣会議を開くか!




「ふっ。もうここまで来てしまったか・・・憎き明智よ・・・・」




「ん!?誰かなんか言ったか?」


なんか誰かが憎き明智よ・・・っとか言ってたけど、十兵衛いじめにあってんのかな?・・・




「・明智十兵衛!


 ・池田恒興!


 ・森可成!


 ・木下藤吉郎!天守閣へとこい!」




「「はっ!!」」




~重臣だけの会議~




「殿今回の要件は何でしょう?」




「あぁ恒興。今回は美濃攻めについてだ。」




「これから、領地を拡大していくにつれ隣国美濃は必ず我らの物にしなくてはならない。」




「そうでございますな。」




「それにあたってわしらは、まず幕府に近づこうと思う。」




「なっ!我が織田家が!?」




「あぁ、足利将軍に近づく。そして幕府の命として俺たちは『斎藤を潰す』」




「今回の総大将は森に任せる。」




「なっ!なぜこのわしに!?」




「森は戦の経験も十分、力も柴田と同等、またはそれ以上だ。だからお主に任せる。」




「ははっ!ありがたき幸せ。」




「よし、今回恒興と十兵衛は内政に回ってもらう。」




「藤吉郎は森と行動して森の戦術を学べ!」




「はっ!よろしくお願いいたしまする。森殿!よろしくお願いします。」




「あぁよろしくな!藤吉郎」




「じゃあ解散だ!このあと恒興だけ残れ!」




「はっ!」




「では皆の者戦の準備をせよ!」




「「承知いたしました!」」






「話とは何でしょうか、殿!」




「簡単な話だ。」




「はっ」




「『明智十兵衛』を見張れ」




「はっ承知いたしました。」




「素直だな。怪しい行動があったらすぐ俺に使者をよこしてくれ。」




「はっ」




「では、頼む」




恒興に十兵衛の行動を見張ってもらうとしよう。


まぁ謎の先祖が言ったことが本当だとは限らないからな。




じゃあ俺は今から室町幕府のある京へいくか。


時間かかりそうだな・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る