第3話 民たちの想い

酒を運び終わってから3時間後。


とうとう民たちを受け入れる時間となった。




ここでもし民たちを納得させることができなかったら・・・




いーや考えるな。自分は絶対に民たちを納得させれると考えなくては・・・




民たちが不思議そうな顔をして場内に入ってくる。本来ならば武士しか入らないこの城だが、今日は民たちの城だと思って受け入れよう。では早速民たちに天守閣に来てもらうか。




「皆さん!!!那古野城へようこそ!!今日は皆様に楽しんでくれればよいと存じます。」




「「んっっ!!!」」




どうしたんだ?民たちの様子がおかしいぞ。柴田に聞いてみるか。




「なぜ民たちは不機嫌そうな表情なのだ?」




「さぁ私らもよくわかりませぬ。何かお気に召さないことでもあるのでしょうか。」




「そうだな。でもとりあえず用意していた酒をふるまおう。」




「はっ!」




「皆さん!どうぞこの那古野城の天守閣へとお登りください!」




「「ちっ」」




どうしたんだ?民たちは嫌そうに天守閣へ登っていく。




「皆さん!今宵は大量に酒をお飲みください!大量に用意してますので。」




酒を注ぎに行くか。




「どうぞ。私がお注ぎになりますのでごゆっくりと。」




ガシャン!




なっ!?俺が注ごうとしたら皿を割られた・・・どうしてだ?・・・




「こんな奴らの酒なんか飲みたないわっっ!・・・」」




「どうしました?なにかご無礼がありましたか?・・・」




「お主の父信秀に散々わしらはこき使われおって、お主の父信秀にわしらは散々美濃へ戦に行かされ。わしらがどんだけ苦しんだのかお主はわかっておるのか!?」




「殿お下がりください。」




「まて!森」




「はっ・・・」




「皆さま 私の父信秀があなた方の大切なものを奪ってしまったり、戦で辛い思いをさせ、申し訳ございませんでした。」


俺は民たちに深々と頭を下げた。




「なっお主・・・」




「今回我々はあなた方を戦に出させようとしてしまいました。戦は我々だけで戦いますので本当に申し訳ございませんでした。」


また俺は頭を下げる。




「信長さんよう!わしゃぁお主の誠意に惹かれたわい。その戦わしらも参加しよう。わしらはお主の父の時代から戦に参加しておるから経験があるんじゃ。」」




「そうだそうだ!四箇屋よつかやのじさまも言っておることだし、わしらも参加しようぞ!!」




「あぁそうだそうだ!!」




良かった。なんとか納得してもらうことに成功した。




「殿やりましたな!」




「あぁ明智十兵衛。お主の策で決行するぞ。」




「はっ!」




「では皆様今宵は大量に酒を飲みましょうぞよ!」




「あー!!!」




「飲むぞ!飲むぞ!」




「信長様!」




「なんだ?」


小っちゃいかわいらしい子だな。




「僕も信長様の戦に参加するんだ!」




「おー!よしありがとな」




「うん!僕は信長様が強敵今川義元を倒すみたいに僕も強敵を倒して強くなるんだ!」




まだ倒してないけどな・・・




「頑張れよ!」




「うん!!」




四箇屋のじさまの話を聞いてみるか。経験豊富らしいしな。






「四箇屋のじさま。」




「おう!なんだ?」




「今回の戦ざっと見積もってどのぐらい勝てると思いますか?」




「実際正直な話するとな・・・」




「はい」




「1割だろう・・・」




「そうですか・・・」




「でもそれは策によっては違う。そなたの軍師のあーなんだったっけな。」




「明智十兵衛です」




「そうだ!明智だ。明智殿の策が上手くいけばその勝率は9割にだってなるだろう。お主だが警戒しろよ。」




「何をですか?」




「お主は少々堅実すぎるところがある。我らにすぐに頭を下げただろう?」




「そうですね」




「普通はいくら小さい家の大名であろうともこんな老いぼれた民に頭を下げることなどせぬ。もしかしたらそれが悪い方向へ行く可能性もある。家臣に謀反される可能性だってなくはない。その辺をお主は人一倍警戒しなさい。」




「わかりました。」


(謀反ってもしかして本能寺の事か?)




明智十兵衛、こいつは桶狭間の戦いの後に殺しておくべきなのか?








翌日 那古野城 信長と重臣だけの会議


参加者


織田信長


柴田勝家


森可成


池田恒興


明智十兵衛




「さてどうしますか?この戦」




「うん、まずは十兵衛の策でいこうと思っている。異論はあるか?」




「なしでございます。」




「わしも同じですぞ。」




「わしもじゃ」




「じゃあ十兵衛頼むぞ」




「はっ!細かい策を練ります。」




「よろしく頼んだ。総大将はわしでいく。」




「「はっ」」




「まずわしはおとりになる軍で戦う。」




「なっ!?殿は後ろで今川軍を挟み撃ちにしてくだされ」




「いや、わしがいた方が民たちの士気が上がるし、今川軍も惑わせやすいだろう。」




「ですが、殿には生きてもらわないと困ります。」




「この勝家!殿の代わりにおとり役を務めます。」




「ダメじゃ勝家。お主には挟み撃ちする側の対象となってもらう。」




「ですが殿・・・」




「わしがやる。決めてある。今言った通り挟み撃ちする側は勝家が大将じゃ。副大将は恒興と可成じゃ。一方わしについてくるのは十兵衛と佐久間信盛と河尻秀隆じゃ。」




「「承知いたしました・・・」」




自らやられる役を買って出たがこうでもしないと戦国の世では生きられないと思ったからの判断である。


絶対に勝って本物の信長ができなかった本当の天下統一をしてやる。

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