喧騒の中、ひとつになる。

伏見 明

おもいで


君と歩いた帰り道。

今でも同じ夕日が差している。


昨日の雨が持ってきた何処かの木の花弁が排水溝に追いやられて萎びている。


何かを彷彿とさせた。


逃げ場のない彼らは哀れに思える。




それを見て君は笑いながら

「お花見が出張してくれてるね。」と言った。



花見とは程遠い乾涸びた花弁達はその一言で少しだけ綺麗に見えた。


夕日に照らされた街。

小石を蹴りながら帰る。


君の肌は夕日と同じ色に光っている。


言葉で表せない程混沌な幸福の中、

僕達はいつもの家に帰っていた。

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