機械仕掛けのコウノトリ 25

 夕飯の支度をするつもりではいたが、理解の追いつかない話を聞いたせいで疲れてしまっていた。


夫もそれをわかってくれていたようで「今日はどこかで食べていこう」とファミリーレストランに入った。


タッチパネルで番号を選び、選んだ個室に入る。スライドドアで完全に遮断された空間は何も言わずに私たちのことを匿ってくれた。


夫はドリアを選び、私はパスタを選びタッチパネルに入力する。


やるべき作業を終えると私たちは少し黙った。外からは柔らかいポップミュージックが流れて、間を何とか保っていた。


「明美は話聞いてみてどうだった?」


夫は広告動画が流れるタッチパネルをじっと眺めながらポツリと呟く。


「ちょっと…混乱しているわ。あの人たちの主張も分かるし、政府の後ろ盾もあるから心配はないと思うけど、違和感は少し残るわ」

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