機械仕掛けのコウノトリ 11

「いやいや逆よ。逆。和也はそんな気全然ないから、今年中にプロポーズしてこなかったらもう一人で子供育てようと思ってるの。そうなったら、すぐに仕事もしないといけないからね」


「そうだったのね。でも、国としてはあまり勧めていないやり方よね?」


「まあ、そうなんだよね。でも、探してみると支援してる組織もあったり、都道府県で補助金を出してたりもしてるみたいなのよね。そこはやっぱり起こっている現実をちゃんと見てくれているよね」


「それなら、確かに安心ね」


「そうそう。なんか調べれば調べるほど和也との子供を作る必要ってあるのかな?って思うの。今なら私の卵子から精子を作れるし、精子の提供者から選んだっていい。生まれた後の顔だって、運動神経だって、学力だって、性格だってある程度は生まれてくる前に決めることができるわけだし。本当に生まれた後に、なるべく苦労せず、私の手を離れてからも一人で生きていけて、安心できるようになるには、そこまでしてあげた方がこれから生まれてくる子供のためなんじゃないかって思うようになってきたの」


「そうよね。健二さんとも実はそういう話をしてるのよね。私たちの遺伝子を持つよりも別の優秀な遺伝子を与えてあげた方が子供の未来のためには良いんじゃないかってね。でも、その子供を私たちが迎えた時に、本当に私たちの子供として愛することができるのかがいつもネックに考えちゃってね」

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