機械仕掛けのコウノトリ 2

 「明美さん。これ今日中にお願い」


上司が私の机に書類の束を投げ置いた。


その行為は悪臭を放つ生ゴミを捨てるようで、ゴミ箱は私だった。


私はただ「わかりました」と頷いて答えた。


それは確かに大した仕事ではなく、これだけであれば問題ではない。


しかし、私にも私の仕事がある。それを終わらせなくては段々と背中に重しを乗せていくように、月末には自分の仕事さえままならないほどになる。


そうと分かりながらも、私は受け取らざるをえない。


それが今という状況であり、私はその状況をただ受け入れるしかない。


それは人が重力に逆らえず生きることによく似ていた。

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