つみ

@bootleg

第1話

 雪は、死んでしまった。市内の高層ビル、どうやって入ったかもわからないその屋上から、飛び降りて。

 僕のせいだ。閉ざしておくべきだった秘密を押さえておけなかったこと、口を開いてしまったこと。そのために、彼女は、雪はいなくなってしまった。

 彼女と会わなくなって数年が立った冬の日、坂の上の公園で、大きく、しかしくすんでしまったSLの模型を視界に入れながら、褪せない記憶を辿っていく。雪とのことを、思い出していく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

つみ @bootleg

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る