第12話 イリア倒れる

 禁止植物栽培事件から1週間後、イリアが倒れた。イリアが食事に来ないことを不審に思ったエイミーが部屋を訪ねたところ、倒れているのを発見したらしい。

「イリア大丈夫かな?」

「とりあえず外傷はなかったし、今はぐっすり眠ってるわ。おそらく過労じゃないかな。」

「・・・過労って何?」

「えっ!?アラド様は過労を知らないんですか。え~と、私は魔族のことはわからないけど、人間だと休みが少なくて働き過ぎると倒れるんですよ。」

「そうなんだ。知らなかった。。。」

「この前の禁止植物栽培事件以降、イリアさん忙しそうで、昨日なんか少しフラフラしてましたから。」

「そうだったんだ。全然気づかなかった。」

「アラド様は体調悪くなったことはないんですか。」

「ないな~。疲れても寝たら治るし。みんなそんな感じだと思ってた。とりあえずイリアの看病お願いするね。その間に各階のモンスター補充してくるから。」

「わかりました。気をつけて。」


 モンスターの補充を終え、食堂に行くとイリアとエイミーがいた。

「もう大丈夫なの?」

「ご迷惑をおかけし申し訳ございません。もう大丈夫です。」

「ちょっと!もう少し休まないとダメよ。ようやく歩けるようになったばかりじゃない。」

「イリア。無理はしないで。モンスターの補充はやっといたから。トラップの修復はやり方がわからなかったから手をつけていないけど。」

「ありがとうございます。ただ、ここ最近のモンスターの減り方は異常です。少し補充したぐらいではすぐに減ります。アラド様はダンジョンコアの管理もございますので、魔力を温存してください。」

「大丈夫。コアは今、供給率60%ぐらいあるし。さっきすべての階のモンスター数を青ゾーンの上限いっぱいにしといたし。」

「・・・えっ!?」

「なんかまずかった?」

「い、いえ。ただアラド様は大丈夫ですか?とてつもない量の魔力を使用されています。」

「ちょっと疲れたけど大丈夫だよ。イリアだけに大変な思いをさせちゃったし。僕も頑張らないと。」

「ご厚意、ありがとうございます。」

「それにしても、どうして冒険者が増えたのかな?エイミーわかる?」

「たぶん騎士団が入って、モンスターが減ったって情報が流れたんじゃないかな。モンスターが少なければ、いつもより安全に移動できるからね。それで冒険者が増えれば、尚更モンスターは減るし。特に地下1階が通過しやすくなると張り切る冒険者は多いんじゃないかな。」

「どうして?」

「地下1階はゴブリンやオークがメインだから、危険な割に儲からないのよ。だから普通は地上で活動する冒険者が多いの。でも地下2階以下に行きやすいってなるみんな下を目指すんじゃないかな。」

「なるほど、だから人間が増えていたのですね。」

「でもモンスターの数が戻ってきたら、また元に戻るんじゃないかな。」

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