恋する蛾
きらめく瞳にすいよせられ
みにくい羽をはばたかせる
わたしは蛾。
まっすぐあなたのもとへいく
かがやくあなたをおとずれる
わたしは蛾。
擬態ばかりする曲がり者。
もし舞えるとしたら、どこへゆこう
もし踊れるとしたら、どこへゆこう
ひかる髪にふれたくて
もろい足ですがりつく
わたしは蛾。
よろこびのようなあなたはほほえむ
さなしみがとわにさったかのように
わたしは蛾。
潜むことしかできない日陰者。
もし笑えるとしたら、だれにあおう
もし話せるとしたら、だれにあおう
わたしは蛾。
鱗粉はふきとばされ
ひとりとりのこされた
わたしは蛾。
あなたの姿を見失った
あわれな蛾。
もしまたあなたに、あえるなら
矢羽のような枯葉をひろげましょう
にあわない七色のはなばたけで
わたしは秋風をふかせましょう
春夏を愛するあなたは、こごえ
ちいさな甲虫たちは、あざわらい
気高い鳥たちは、おおきなくちをあけ
あなたはわたしを恥じるでしょう
けれどもわたしは
擬態をせず
潜まず
気にせず
わたしのすべてを差し出すでしょう
わたしは蛾。
まっすぐあなたにおとずれる
わたしは蛾。
あなたにあこがれる一匹の、蛾。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます