晩鐘
連野純也
1
これは出逢いと喪失の物語。
今でも狂おしいほどに彼女を追い求めている。私の魂にある傷からは血がじわじわとしみ出していて、生涯消えることはないだろう。
当時の私は高校生。
なんの変哲もない、平和で穏やかに過ぎていく、学生生活。私は
気心の知れた友達がいて、それなりに付き合いのある仲間がいて、成績は悪くもなく人並みで——。
昨日とさほど変わらない明日。だらだらと続く平凡。
きっとこの国ではどこにでもありふれている日常。
——つまらない。
もっと刺激が欲しかった。
そのときまだ私は子供だったのだ。
あの夜——ああ、満月のあの夜に、予感などは何もなく、
ただ私は乱暴な運命と出逢った。
愛するがゆえに破滅へいざなう
前触れもなく突然に現れて、そして私のすべてを変えてしまった。
誰が何を言おうと——世界が二人を
この真実は、ふたりだけのものだから。
私が彼女の運命だったように、
彼女は私の運命だったのだ。
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