世界設定その10 武術系統『個人編』



この物語はバトル描写も売りです。

戦いの方法は、それぞれのキャラクターの性格、価値観、人生、流派などを反映したものになります。



1. ソルジェの武術傾向

主人公ソルジェ・ストラウスの武術の傾向は、攻撃で圧倒することです。

戦闘民族的な気質の多い、ガルーナのストラウス家の武術を体現しています。


圧倒し即座に敵へ致命傷を与え、次の敵に襲い掛かっていきます。

負傷のリスクを想定していない、攻撃特化のスタイルであるため、相手より弱ければ死亡するリスクも高い。


守りを考えれば弱くなると考えているのがソルジェです。思考を増やし過ぎると、鈍ってしまう。そのため防御まではそれほど考えず、防御は反射と経験由来のただの読みで行います。


主人公らしく作中屈指の達人であり天才戦士です。



・『ストラウスの嵐』

四連続の斬撃を放つ剣鬼ストラウス家の伝統的なテクニックです。

基礎にして奥義とも呼べる剣舞であり、長大な竜太刀を名前の通り四連続で振り回します。


多対多、一対多を想定した戦場向きの剣舞であり、理想的に行えば数人の敵を一気に蹴散らす、または敵陣に穴を開けて、その内部に突入することも可能です。


長大なリーチと回転数を活かした技になります。


・『バースト・ザッパー』

魔剣と呼ばれる必殺技です。魔力を大量に消費するため、戦場で乱発することは難しいものですが、一対一の競い合いや、戦場でここ一番のときに使用することで敵に打撃を与えています。


ソルジェ本人の魔力と、竜太刀に宿るアーレスの魔力を合わせて、斬撃を地面に叩き込み空間を圧力で変質、指向性をまった爆炎を反射させ、地面の破片ごと敵にぶつけるという荒業です。


致死性の灼熱と、超音速の衝撃波、土くれの弾丸が相手の肉体を粉砕してしまいます。空気圧も変わっているので、命中しなくても人体は内部から壊れてしまうのです。



・『竜の焔演』

大量に魔力を消費する、連続攻撃です。

『炎』で竜太刀そのもの破壊力を上げ、『風』で速さを帯び、『雷』で筋肉の制御を強化することで筋力を増強させ、連続の攻撃を放ちます。


桁外れの威力となった斬撃を連続で叩き込み続けるため、とてつもない破壊力を組み上げることが可能です。


一方、当然ながら体力と魔力の大量消費が発生するため、使った直後は戦闘が継続できるか分からないほどに疲弊するリスクがある。


戦場で使うには向いていませんが、強大な単体な敵に対しては頼れる必殺技なのです。




2.リエルの武術傾向

弓による遠距離狙撃を好みます。

その精度は環境を整えれば1000メートル先の標的に確実な死を与えます。風を使えば2000~3000メートルも狙えなくはありません。


森のエルフの王族として、空間把握と風を読む力に長けていることと、幼いころからの鍛錬と弓使いとして受けた教育の結果、角度をつけた変則的な射撃も自在に行えます。


壁に隠れようと遮蔽物を頼ろうとも、矢を通せる空間があるのであれば、リエルは確実な射撃で矢を走らせます。


また強大な攻撃魔術や、補助魔術の数々、そして毒薬も攻撃手段として有しているため、いかなる戦場でも重宝される才能を発揮することが可能です。



3.ミアの武術傾向

ケットシーであるミアは、猟兵式の教育を受けて育った『誰よりも純度の高い猟兵』でもあるのが特徴です。


その武術の哲学は猟兵の哲学そのものであり、常に戦術を帯びた最適解な行動で、最小限かつ最大の威力を目指し、油断もしなければムダな緊張もしない。猟兵たちの祖ガルフ・コルテスの理想を体現する少女です。


筋力はなく小柄であるため、威力にあふれた攻撃はしません。ミアのフィールドは暗殺と奇襲、狙撃の三つです。


暗殺においては、気配を完全に消した状態で敵に近づき、背後からでも天井からでも致死性の一撃を的確に放ちます。


ナイフ、スリングショットによる精密狙撃が得意ですが、他の猟兵たちよりも道具を併用する行動が多くあるのも特徴です。


爆薬と、『風』の魔術を組み合わせることで、指向性をもった爆発を生み出すなど、器用なコンビネーションをいくつも有しています。


最少の力で最大の威力を作る、それがミアの常の行動です。


一方、猟兵シアン・ヴァティに憧れてもいるため、『虎』の武術を模倣しようとも必死です。


シアンの直線的な急加速、急減速、再加速のコンビネーションを、ミアはスピードを落とした状態で行えます。直線の速さで負けたとしても、横の動きではシアンに勝ることもできます。


またナイフと手甲からの爪による疑似二刀流なども使います。




4. ガンダラの武術傾向

槍やハルバート、ポールアックスなどの長柄の武器を使いこなす、リーチ・マスターです。

間合いのある対人戦闘では、ガンダラの攻撃力と、リーチゆえの防御の深さは圧倒的なものになります。


動き回ることは不得意ですが、城塞のように不動でも十分な強さを発揮できるのが特徴で、連携することで自分の威力が本格的に活かされることを把握しています。


自身が負傷することは、巨人族の身体的頑丈さを考慮しているため許容もする。


知的な行動を心がけ、自分の行動をチーム全体、あるいは戦場全体にどう波及させるかを考えながら戦う人物です。



5.シャーロンの武術傾向

変装、諜報、暗殺、情報収集の達人であり、相手の動きと考えを読み解く洞察の達人でもあります。


使用する武器はレイピアなどの軽くて使いやすい剣が多く、軽やかな動きで的確に急所を突くテクニックを有している人物です。


見た目とは異なりどこまでも計算高い行動をしている人物で、敵を誘い込んでのカウンターを得意とします。


ミアが技術的な暗殺者なら、シャーロンは戦術的な暗殺者です。



6. ジャンの武術傾向

ジャンは全くもって通常の武術の才能はありません。

ただの身体能力と、ただの勇気。それらがどちらもけた違いだからこそ、敵に怯まず頭から噛みつきに行くことが出来て、そのまま敵を倒してます。


武術的なテクニックは皆無であることも自覚があり、それはジャンのコンプレックスです。


ソルジェやシアンはジャンの持つ超人的な身体能力にほれ込み、どうにか武術を仕込もうとしましたが失敗、断念しています。


とても下手な剣術しか使えず、それならば常人の数十倍の筋力でたんに殴りつけた方がまだ強いのです。


『闘犬殺法』、冒険が進めばとある街で『闘犬の戦い方』を教わることになります。

狼に変身した状態での、いくつかの武術めいた動きを修得します。


変に技術を使うより、身体能力があるならばそっちを使った方がいい、というコンセプトを体現してしまう人物です。



7.ギンドウの武術傾向

ただの才覚で振り回す槍ですが、それなりの強さを持っています。


とはいえそれなりのものでしかなく、本人は『雷』の魔術に頼ることで戦場をやり過ごしたいと考えています。


戦闘にも武術にも大した興味がありません。爆弾や発明品を使った戦闘は好みます。好奇心を満たしてくれる実験だからです。



8.ロロカの武術傾向

槍を用いての攻撃、防御、どちらも高度な強さを発揮しますが、ディアロス族らしくユニコーンを槍に変化した状態で放つ突きの威力に絶対の信頼を置いています。


突きという形質の威力で言えば、最強の威力になるのが『霊槍白夜』を用いたときのロロカの突きです。


戦略家としてのロロカは『防御』を好み、秩序よりも野生を頼る作戦を使いこなしますが、ひとりの戦士としては勇猛果敢な攻撃のスペシャリストでもあります。


(とはいえ連携を好まないという意味では、個人においても『攻撃』の性質ではなく、『守備』の性質を持った人物でもあります。単独で君臨することで、仲間を守るための強さです)。


槍の突き、なぎなたのように体に引き寄せての回転の動きが作り出す攻撃と防御、石突きのカウンターなど、多彩な槍の動きを使いこなします。


ユニコーンの『白夜』に乗った状態での、騎兵として強さも武器です。騎兵との競争の性質を帯びた戦いでは無敗を誇ります。




9.オットーの武術傾向

三節棍を自在に使いこなす、『防御』の達人がオットー・ノーランです。


棒術のスペシャリストであり、武器破壊、手足の骨折狙い、仲間を守るために矢の雨を三節棍で撃ち落とすなど、敵にも味方にも被害を抑えるような振る舞いで戦える達人、それがオットーです。


やさしい人格者であり、戦闘行為に対しての興味は薄いものがあります。


中肉中背に見えますが、鍛え上げられた肉体が有する筋力は異常に強靭さがあり、追い詰められて余裕がなくなるほどに強くなっていきます。


最低限のダメージで敵を倒すことに腐心しているため、普段は実力よりも戦闘能力自体が低くなっているのが特徴です。



10.カミラの武術傾向

ただの農民として暮らしていた少女です。そのためカミラは武術の経験もなければ、興味もそれほどありません。


『パンジャール猟兵団』に合流した二年間で必死に武術を学ぼうとしていますが、成果は今一つ。


それでも、『闇』属性に強化された身体能力があるので、ジャンと同様の理由で何の技術がなかったとしても最強の一角にいます。


達人よりも圧倒的に速く、達人よりも力が圧倒的に強く、達人の鍛え上げた肉体を鎧ごと紙屑同然に潰してしまうような素人のパンチ、それをいくらでも放てるのがカミラです。


弓も使えないため、石を投げることなどで敵を攻撃するなどシロウト的な動きも目立ちますが、そのゆるいフォームでの投石の速度が時速で300キロを簡単に超えるなどの動きになるため、あまり武術の才能など要らないのです。



11.シアンの武術傾向

双刀を使用するシアンは、肉弾戦でソルジェと並ぶ最強の猟兵です。


実用性と機能性に特化した動きです。『虎』の辞書に容赦などという言葉はなく、ありとあらゆる手段を用いて敵を屠る努力をしていきます。


前後、縦方向の動きで最速の人物です。

低く沈みながら即座に加速を組み上げる襲撃のスタイルを持っています。


世界最強の剣聖の一人が、恐るべき速度で正面から一瞬で間合いを詰めて来て、獣の牙のように双刀を突き立てます。


双刀の威力そのものは低いですが、回転数を実現する身体能力と精密に急所を狙うテクニックを併せ持っているため、十二分な威力です。


手数と速度と精度で圧倒する『虎』、それがシアンです。


カウンター式に使う蹴り技の威力も殺人的なもので、刀での撃ち合いに集中し過ぎた敵のあごを足技がいきなり襲うこともあります。武術的なアクション性、それがシアンの動きです。



12.レイチェルの武術傾向

サーカスの踊り子であるレイチェルの武術には、実用性よりも優先している分野があります。


誘導することです。


美しい舞いや華麗な動きを戦闘行為に挟むことで、敵の目を引きつけます。

これには一定の戦術的な効果があるものです。


敵の意識を自分に集中させて、仲間への攻撃性を抑止することです。


レイチェルの動きが美しさを優先させるには、サーカス・アーティストとしての矜持もあります。


団長であった夫と仲間であったサーカス団員の仇を討つ意味でも、帝国兵を殺す戦場でサーカスの動きを表現したいとも考えています。


また、たんに美しく優雅な動きが好きだったりもします。



13.キュレネイの武術傾向

コミュニケーションを封じて放つ『無拍子』が特徴です。

感情も思考も読めない態度と表情から、いきなり高精度の殺人技を放ちます。


また仲間との連携を即興で組み上げることが可能なのもキュレネイの武器なのです。

誰と、どんなときでも、攻撃を連携させる圧倒的な器用さ、『ゴースト・アヴェンジャー』として幼いころから受けた数々の武術訓練の成果でもあります。


鏡のように誰の動きでも模倣することが可能であり、ソルジェの『竜の焔演』さえも不完全ながらコピーします。


また十代の猟兵たちの中では最も賢く、戦術理解力も高いため、高度な作戦を与えることも可能という有能さがあります。


武術と同時に演技を使ってもいる猟兵です。

極めて微小な動きを用い、潜在意識下にしか反映されない程度の情報量を『対戦相手に刷り込んでいます』。


無表情、読めない態度で集中を引き込み、演技で与える偽りの動きに相手を誘い、それとはまったく別の種類の攻撃を放つことで圧倒しているのです。


それは表情でも殺気でもなく、体のわずかな動きを相手の潜在意識レベルに認知させるというボディ・ランゲージの一種です。本能的なものなので、あらゆる文化や武術体系を問わずに機能する演技力、それがキュレネイの『無拍子』を構成する技術になります。


優秀な子なんです、無表情ですけれど。複雑な思考をもつ思春期の少女です。




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