これなぁに?

@shun030

第1話 もうその歳

「おじさんおじさん。今日はなんの本読んでくれる?」


「うーん。どうしようかな。"ながぐつをはいたねこ"とかかなぁ...」


「なにそれー!面白そうだね!」


 親戚の子供が遊びに来ていた。

 夏休みだからだろう。なのでこういう感じで俺にくっついてきているんだが、男の子らしく活発だ。最近だとこんな暑い夏の炎天下に動きまくってかなりばてていた。そりゃそうなる、この地域は気温が高いから。今日の気温なんて31°だぞ


「あ、そういえば、お母さんにゆうの誕生日になにか言われた?」


「なにか?うーん。誕生日お祝いして、おめでとうって言われた。」


「本当にそれだけ?他に大事な事は言われてない?」


「うん。言われてないよ」


「わかった........。教えてくれてありがとうね」


 俺は本好きのこの子の誕生日、本をプレゼントした。題名は"あいのとり"というものだ。内容はシンプルで、鳥を助けた少年が、その鳥とともに人助けをするという物語だ。俺はこの本を見た時、この物語みたいに心優しく育ってほしいという願いを込めてプレゼントした。


 そうこうしているうちに家に着いた

 俺は用事があるので家に入っててと伝え、家の裏へと進んだ。


「はぁ。ここの扉かったいんだよなぁ。昔から、相変わらずだな。んっん!」


 家の裏の小屋にとらなきゃいけないものがあるので


 ガシャン!!!

 一気に扉が開いた。僕は力を入れて開けたものだからその反動で吹っ飛んだ


「大丈夫?おじさん。」


「あ、あーいたんだ。大丈夫、問題なしさー。あはは」


 子供に恥ずかしいところを見せてしまった。

 まぁ、まぁぶつからなくてよかったのが幸いだ


「あのさ。これなぁに?」


 手を見てみるとトカゲが乗っていた


「あぁーそれはニホンカナヘビだね。そいつよくみるとかわいいんだ」


「へぇー!じゃあそれは?」


「え?あ。全然気づかなかった。これはツチガエルだね。茶色くて本当に土みたいな色してるんだ。」


 まさか自分の服に張り付いてるなんて。


「じゃあさ。あれは?」


 指を俺の後方に差した


 それは決して喜べるものじゃなかった


「ん.....え。」


 自分にしか聞こえないくらいのこえでこう言う


「ああ。やっぱりもうその歳になったのか...」


 ずっと懸念してたものがついに目の前に現れることになるとは、しかもこんなに早く...

 教えたくないけどみんな通る道なんだ。

 しょうがないのか...


「これは................







                  怨みだ...」


俺はそれを言う途端に駆け寄る。


「それ以上近づいたらだめだ!」


「どうしたの?!」


ゆうくんはびっくりしている


くそ...。よりによって怨みかよ。


危険なのに遭遇してしまった。

俺としたことが今はあれがないんだ。

絶対必要なあれが...


やばい。完全に油断していた。


俺たちにはいつもこいつらが付き纏ってるというのに...


あぁどうしようか



タッタッタッタッタッッッ!!!


ものすごい音で近づいてくる


「はぁーーーっっっ!!!


                 烈封れっぷう!!!」


え...?




俺が考えている間にそれは封じ込まれた。



音の正体はゆうの姉の凛だった。


「ゆう!。ふみ兄さん!。大丈夫だった?!」


「あぁ。凛。きてくれて助かったよ...。」


「俺の失態だ。本当にごめん。"数珠"完全に忘れてた。油断してた」


「ううん。謝る必要はないよ。本当二人が無事でよかった。」


またしても子供に恥ずかしい所を見せてしまった

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