アフリカのサバンナからやって来た義妹は金髪美少女の野生児で俺のお嫁さんになると言っている

能海 春火

第1話 俺には妹がいるらしい

 

 俺こと有馬ありま 勇生ゆうせいの人生は「おぎゃー!!」と泣いた時から苦労の連続だった。


 母さんは性に奔放ほんぽうな人で、未婚で俺を産んでからすぐに祖母に俺を預け、日本から遠く離れたアフリカに1人旅立ってしまった。


 アフリカのサバンナでサファリガイドをしているらしい母さんは、また新しい旦那と再婚したとかで、ゾウの背中に乗ったウェディング姿の母さんと金髪で青い瞳の外国人の男が写っている写真を送ってきた。


 おそらく、このハンサムが新しい父親なのだろう。いい人そうだ。

 でも、絶対に「父さん」とか「ダディ」なんて呼ばないけどな。


 自分勝手で放任主義な母さんでも、子どもの俺にちゃんと愛情はあるようで連絡は頻繁ひんぱんにとり合っていて、ビデオ通話を1ヶ月に1度の頻度ひんどでしている。


 話しは主に俺の高校生活や、母さんがゾウやサイを密猟者から守った出来事など。

 それをいつも俺はひやひやと聞いている。

 母さんみたいに、ケンカは強くないからね。暴力での解決は好きではない。

 誰に似たんだろ?

 会った事ないけど、父さんに似ていると母さんから言われたことがある。


 母さんは俺が喜ぶと思っているのか、オスキリンがメスキリンの尿を舌で飲む動画や、ハイエナの交尾する写真なんかを嬉々ききとして見せてくる。


 たしかに高校生だし、そういうのに興味はあるけど、どんな顔していいか反応に困る……。


 こんな時、祖母がいてくれたらなぁ、と思う。

 祖母は俺が高校に入学するのを見届けてから、天国に旅立った。1年前のことだ。

 育ての親だったから、めちゃくちゃ悲しかったし、めちゃくちゃ泣いた。


 そして俺は1年前から無駄に広い一軒家で、1人で暮らしている。


 寂しくないと言えば嘘になるが、 母さんの友達も様子を見に来るし、少ないながらも良い友達に恵まれて、俺は穏やかな高校生活を日本でおくっている。


 穏やかで平凡な日々が、これからも続くとその時の俺は思っていたーーーー




 それはいつもの、母さんからのビデオ通話での事。


「実はね……、勇生には妹がいるの!!」


「…………はぁ?」


 画面に映るごめんねポーズをする母さんに、俺は眉を吊り上げ怒りの声を発した。

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