第6話 紗奈先輩とお買い物

今日も集合場所は、いつも通り駅の改札口付近だった。

集合場所に集合時間である午前10時についても、紗奈先輩の姿はなかった。

しばらくのスマホゲームをしていると、紗奈先輩が到着した。

「あやちゃん。待たせてごめん」

「全然大丈夫だよ」

「切符買った?」

「まだ買ってないよ。今から買いに行こうか?」

「それじゃあお願い」

 僕は、切符販売機で、二人分の切符を買った。

「切符買ってきたよ」

「あやちゃんありがとう」

そして、僕たちは改札を抜けてからは、ずっと腕を組んでいた。

 今日の電車は、少しすいていたので、無事に座ることができた。席に座っているときに、紗奈先輩と肩を組んでいた。

 紗奈先輩の鼓動もしっかり聞こえる距離になっていた。僕は正直恥ずかしかったが、やめる気はなかった。

今日は、ショッピングモールに行く予定の日だ。あと、3駅で降りるので、この時を大事に思っていた。

電車から降りると、再度紗奈先輩と腕を組んで歩いていたが、僕は紗奈先輩と肩を組んで歩きたいと思った。そして、改札を抜けたところで、紗奈先輩にお願いした。

「紗奈さん、もし良かったら肩を組んで歩きたい」

「うん、分かった」

紗奈先輩が答えると、僕は紗奈先輩の腕を離した。そして、紗奈先輩が僕の肩を抱いてくれた。肩を組むと、紗奈先輩の体温を感じた。

しばらく肩を組みながら歩くと、もうショッピングモールの敷地に入っていた。

入口の自動ドアを通過すると、少し強めの冷房がかかっていたので、少し寒いと思った。

しかし、紗奈先輩と肩を組んでいるので、そこの部分は暖かかった。

「あやちゃん、私行きたいところがあるんだけど、そこに行こう」

「どんなところなの?」

「服が売っているお店だよ。私の服を探すのあやちゃんに手伝ってほしいけど、手伝ってくれる?」

「手伝うよ」

しばらく歩くと、紗奈先輩が行きたい衣料品店に着いた。

その店は、女の子の服が売っているお店になっていた。

 店内で紗奈先輩に似合う服を探していると、スポーツ系の服を見つけた。しかも、僕にも似合いそうな服だった。

「この服とか似合いそうだよ」

紗奈先輩委にその服を見せると、「あやちゃん、結構よさそうな服じゃん。一回試着してみるから、試着室のところまで行こう」

試着室のところについて、中で紗奈先輩が着替え終わると、紗奈先輩がカーテンを開けた。

「こんな感じだけど、どうだと思う?」

「すごく似合うよ。あと、僕もこの服試着してみていいかな?」

「多分いいと思うけど、サイズ感が違うと思うから、一緒に行って、サイズ決めよう」

紗奈先輩が着替え終わると、先ほどの服のところに行って、紗奈先輩が僕に合うサイズを探してくれた。そしてその服を着てみると、ぴったりとまではいかないが、小柄なおかげできついところはなかった。

カーテンを開けて、紗奈先輩に見てもらった。

「どんな感じ?」

「すごく似合っているよ」

「ありがとう。それじゃあ着替えるね」

僕は着替えて、紗奈先輩とレジに向かった。

レジにいた店員さんはかわいらしい店員さんだった。

「お願いします」

「こちら一点980円の商品が2点で1960円になります。あと、レジ袋いりますか?」

「大丈夫です」

紗奈先輩がレジ袋を断り、1000円札を2枚出した。

「2000円お預かりします」

「お釣りのほうが40円となりますありがとうございました」

店員さんがお礼を言って、紗奈先輩のマイバックに商品を詰めると、紗奈先輩と再度肩を組んで、店を後にした。

「あやちゃん、次どこに行く?」

「服以外にもおそろいの物買わない?」

「どんなものがいい?」

「部屋におくものかな?」

「雑貨屋に行こう」

同じ建物の中とはいえ、かなり広いショッピングモールなので、雑貨屋までは少し遠かった。

かなりおしゃれな雑貨屋につくと、「どんな感じのものにする?」と紗奈先輩に聞かれたので、「クッションとかがいいかな」と答えた。

紗奈先輩とクッションのコーナーに行くと、とても触り心地の良いビーズクッションがあった。

「このクッションとかどうだと思う?」

僕が聞いて、紗奈先輩が触ってみると、「すごくよさそうじゃん」と紗奈先輩が答え、僕たちはこのクッションを買うことにした。

このクッションの価格も980円だった。

「さっきの服のお金返していなかったけど、さっきの服と同じ金額だから、僕が紗奈先輩の分も買って、お金を返したのと同じにしてくれる?」

「うん、そうだね。私、あやちゃんの服のお金返してもらうの忘れてた」

「紗奈さんはどの色にするの?」

「私は紺色にしようかな?」

「僕は緑色にしようと思う」

「この色もいいじゃん」

「他に何かおそろいのもの買う?」

「文房具とか買おう」

紗奈先輩と文房具売り場に行くと、鉛筆みたいなシャープペンシルが置いてあった。

僕が赤色にして、紗奈先輩が緑色を選んだ。

このシャープペンは150円だった。

そして、レジに行くことにした。今度は僕が会計をした。

「こちら980円の商品が2点と、150円の商品が2点で2260円です。」

僕は1000円札2枚と、100円玉を3枚出した。

「2300円お預かりします。」

おしゃれな男性の店員さんがレジ袋に商品を詰める。レジの近くを見てみると、環境にやさしいレジ袋を使っているため、この店は無料でレジ袋を提供できることになっているらしい。

「お釣りのほうが、40円となります。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」

店員さんから商品の入ったレジ袋をもらい、お店の前で待っている紗奈先輩のところに行った。

お互い荷物を持っている間も、紗奈先輩と肩を組んで歩いた。

「あやちゃん、私お腹がすいてきたんだけど、もし良かったらお昼ご飯食べない」

腕時計を見てみると、もう時刻は1時半になっていた。

「うん。食べに行こう」

「フードコートに行ってみる?」

「うん。行ってみよう」

フードコートは少し遠かったため、しばらく歩いた。

フードコートにつくと、少し混んでいた。

「あやちゃんはどんなのが食べたい?」

「うどんかな」

「本当!私もうどんがいいと思った」

フードコートを見渡してみると、うどん屋らしい和風なつくりをしているところがあった。しかも、そこは少しすいていた。

「あそこのうどん屋に行ってみない?」

僕がうどん屋らしいところに指をさすと、「確かにすいているね。そこに行こう」と紗奈先輩が言って、そのうどん屋に行こうとしたが、フードコートは混んでいるので、紗奈先輩と肩を組んでいたが、お互い肩から手を離した。

うどん屋の前につくと、紗奈先輩に何が食べてみたいかを聞いた。

「紗奈さん、メニューどれにする?」

「私やってみたいことがあるんだけど、あやちゃんが嫌だったらほかのにするんだけど、二人で、特大の釜揚げうどん食べてみたいけど、あやちゃんはそれでもいい?」

僕も紗奈先輩と同じことを考えていたので、紗奈先輩のほうを向いてうなずいた。

ここのお店の特大釜揚げうどんはつゆが二つついてくるので、紗奈先輩と一つずつ使えるらしい。

「あやちゃんは席探してくれない」

「うん、探しておくね」

紗奈先輩と離れるのは寂しいけど、ほんの数分の話だってので、すぐに離れられた。

 まずは、ウォーターサーバーから水を取りに行って、先ほどのうどん屋の近くの空いている席を探した。

 運がいいことに近くに二人掛けの席が空いていた。

その席に座って、スマホを触りながら待っている、紗奈先輩が特大の釜揚げうどんを持ってきていた。二人前はあるサイズだった。

紗奈先輩が小皿に天かすとネギを入れてきてくれていたので、僕は小皿に入っているネギと天かすをつゆに入れた。

「あやちゃん、あまり緊張しないで食べていいよ」

紗奈先輩の一言で僕の緊張は解けた。

「いただきます」

そう僕が言うと、紗奈先輩も「いただきます」と言って、二人でうどんを食べ始めた。

僕が一口だけ食べると、紗奈先輩が「さっき買ったクッションに座ってみよう」と言って、僕は紗奈先輩に先ほどのクッションの入った袋を紗奈先輩に渡して、紗奈先輩は紺色のクッションを袋から出してタグを外して、椅子に敷いて座ってみた。

「あやちゃん、これめっちゃ座り心地いいよ。あやちゃんも座ってみたら!」

僕も紗奈先輩に言われるように緑色のクッションを椅子に敷いて座ってみたらすごく座り心地が良かった。

「紗奈さん、めっちゃ座り心地がいいね」

紗奈先輩はうなずいた。

そして、ゆっくりうどんを食べていった。

「あやちゃんは最近の部活はどんな感じ?」

「活動はとても大変だよ」

「やっぱりチア部は大変なんだね」

「うん、大変だよ。バレーボールはどうなの?」

「バレーボール部も大変だけど、チア部ほどではないと思うよ」

「やっぱり部活はどの部活でも大変だよね」

「そんなことないと思うけど。文化部とかはまだ楽な部活もあると思うよ」

紗奈先輩の言う意外な言葉に僕も少し共感した。

「紗奈先輩はうどんどれくらい食べるの?」

「たまに食べるよ。あと、紗奈先輩みたいな呼び方よりも、もうちょっと彼氏らしい呼び方をしたほしいな?」

今、少し気がゆるんでしまっていた。

これからは気を付けることにした。

「紗奈ちゃん、僕もたまに食べるよ。」

紗奈先輩は僕がちゃん付けしたことについて少し戸惑うが、すぐに笑った。

「このほうが嬉しい。あと、うどん食べないと私食べちゃうよ」

紗奈先輩の言う通り、うどんはかなり減っていた。僕はうどんを食べるペースを上げた。

「かわいい」

紗奈先輩の突然の言葉で、僕はうどんを戻しそうになったが、耐えた。

「紗奈ちゃんもかわいいよ」

「ありがとう」

うどんの量も減ってきて、あと一口分しか残っていないので、取ろうとすると、紗奈先輩の箸と当たった。

「あやちゃん食べたい?」

「別に、紗奈ちゃん食べたら?」

「うん」

紗奈先輩が最後のうどんをとって、そのうどんを食べた。

「あやちゃん、何かデザート食べない?」

「食べよう、僕買ってこようか?」

「でも、ここのフードコートでデザートあまり売っていないし、ソフトクリームも380円するよ。今月お小遣い温存してまた出かけるために、1階にあるスーパーマーケットで、アイス買おう」

「うん。そのほうがいいよね」

「私、この食器返してくるね」

紗奈先輩が食器を返しに行った。

その間に荷物の整理をした。紗奈先輩が帰ってくると、また肩を組んで今度はスーパーマーケットに向かった。

「私クッション忘れてきた」

紗奈先輩が焦っていたが、僕が紗奈先輩のクッションが入っている袋の中を見せると、紗奈先輩は落ち着いた。

スーパーマーケットの中で、紗奈先輩とアイスクリームのコーナーに行って、美味しそうなソフトクリームを見つけた。

それなら一つ98円だった。

バニラ味のソフトクリームを二つかごの中に入れ、セルフレジで精算した。そして、僕たちは炎天下の中の屋上に行くことにした。

 このショッピングモールの屋上は、駐車場がメインになっていて、少し公園みたいに過ごせるスペースがあるので、そこに行くことにした。

しかし、屋上に着くと、炎天下の中は、とても暑かった。その影響で、他に人はいなかった。

「紗奈ちゃん、やっぱり暑いね。」

「あやちゃん。でもソフトクリーム美味しいね」

ソフトクリームで水分は摂取できたが、それ以上に汗が出てきているように感じていた。紗奈先輩も、そこそこ汗をかいていた。

「あやちゃんのクラスは文化祭どんな企画なの?」

「まだ何か決まっていないかな。」

「そうなんだ。私のクラスもまだ決まっていないから同じだね」

紗奈先輩が微笑んだ。

「あやちゃんは個人的にはどんなクラスの出

し物がいいの?」

「う~ん、僕も活躍できる出し物がいいな」

「私は私目的で来る人があまりいなければなんでもいいかな。去年なんて私がほかのところに行っている間は全然誰も来ていないのに、私が来た瞬間にすごく大繁盛したもん」

「でも、それだけ紗奈ちゃんが人気ってことじゃない」

「そうだと思うけど、あの時は本当にたくさんの人が来たからね」

「今度文化祭のテーマが決まったらまたこのように話そうね」

紗奈先輩がうなずいた。

「あやちゃん、来週の予定空いている?」

「うん。土曜日なら空いてるよ」

「良かった。私も土曜日空いているよ」

「紗奈ちゃんは海とか行くのどうだと思う?」

「私、海も好きだよ。私がよく行っている海があるんだけど、そこにする?」

紗奈先輩からの質問に僕はうなずいた。

「紗奈ちゃん。僕、紗奈ちゃんと付き合えてとても良かった。これからも仲良くしようね。」

「あやちゃん、私もあやちゃんと付き合えてうれしい。来週楽しもうね。」

 僕の電話の着信音が鳴る。

「亜矢理もう遅いから早めに帰ってきてね」

「うん。もうそろそろ帰る」

「気をつけてね」

お母さんからだった。

「紗奈ちゃん僕そろそろ帰らないといけないけど、紗奈ちゃんと離れるの寂しい」

僕の顔から涙が出てきた。すると、紗奈先輩が僕を抱きしめた。

「私もあやちゃんと離れるの寂しいよ」

紗奈先輩の一言で僕はさらに泣いてしまった。

「大丈夫、また来週会えるから」

紗奈先輩がハンカチを出して僕の涙を拭いた。

「約束だよ、紗奈ちゃん。もうちょっとこのままでいさせて」

紗奈先輩が「いいよ」と答え、しばらく何も話さずに二人でハグをしていた。少し苦しかったけど、紗奈先輩に抱かれてこの暑い中で、ぬくもりを感じた。そして、紗奈先輩のシャンプーのにおいがした。

このハグをしている時間は、極楽だった。

しばらくすると、紗奈先輩が僕から手を離した。

「あやちゃん。今日はありがとう」

「こちらこそありがとう」

帰りの電車の中では何も話さないで帰ったが、肩は組んでいた。

電車を降りて改札を抜ける直前に、紗奈先輩と手を離した。改札を抜けると、そのまま家に帰った。

 家に帰ってからは、学習机の椅子のクッションを今日買った紗奈先輩とおそろいのものに変えた。

その日は、早めに寝た。

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