母特製🍎リンゴの豚バラ巻き🍏

片葉 彩愛沙

リンゴ×豚バラ×アジシオ

 意外な組み合わせが美味しいってことあるよね。

 私のお母さんは、私が小学生だったころのある日、『リンゴの豚バラ巻き』を作った。

 夕飯、大皿に盛られたその料理。

「リンゴよ!」

 と言いながら差し出されたので、何が巻かれているのだろう、と考える暇はなかった。普通のくし形に切られたリンゴに、豚バラ肉を巻いて弱火でじっくり焼いただけ。

 当時の私は――というより今もだが――肉が大好きだった。

 こんがり焼けた肉、それに包まれているリンゴ……何だこりゃ? と思いつつ私はそれにかぶりついた。

 じゅわっ

 肉はもちろん美味しい。驚いたのは、中のリンゴとめちゃくちゃ合っているということだ。リンゴはアップルパイの中身のように柔らかくて、甘くない。いや、甘みや酸味はあるんだけど、肉の味を邪魔しない。肉の油がしみ込んでいるのか、味がマッチしている。

 肉の歯ごたえ、脂身、ジューシーさ、旨味。

 リンゴのじゅわっとした触感、やわらかさ、甘み、酸味。

 そして、唯一の調味料――アジシオ。

 それだけなのにとても美味しい。

 私は夢中になって、ご飯一杯でその皿に盛られたほとんどを食べてしまった。

「美味しい! また作って!」とせがんだ。

 お母さんは嬉しそうだった。

 それから運動会の弁当に入れてもらった。冷めてはいたけど、それでも全部食べてしまった。

 この間、久しぶりに思い出して、お母さんに頼むと次の日の夜には作ってくれた。

 あの美味しさは変わっていない。ありがとうお母さん。今度は私が作るからね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

母特製🍎リンゴの豚バラ巻き🍏 片葉 彩愛沙 @kataha_nerume

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ