第16話
「ありがとうね……おかげでここまでまた戻ってくることができたわ」
魔王城。
特に戦闘のあとも、壊れたところもない魔王城の一室で僕たちはくつろいでいた。
「私何もしていないけど……」
魔王の言葉に対してボソリとラザリアが呟く。
……確かにラザリアは何もしなかった。戦闘の一つや二つくらい起きるだろう……と予想したんだけど、全然起きなかった。
進軍初めてから魔王城に戻ってくるまでの道中で戦闘は一度も起こらず……魔王城に来てからも一度もなかった。
魔王を追い出して玉座に座っていた魔族たちも何の抵抗もすることなく屈し、今は地下牢に囚われている。
……何をしたかったんだ……???マジで。こんなに簡単に玉座を返すなら最初から諦めておけよ。
まぁ……面倒事が減ったから良かったけどさ
「……僕は不得意な戦闘を強いられたよ。魔法はただただ歩いていただけなのに」
「ご、ごめんさない……で、でもこれで魔族の暴走は抑えられたわよ?……もう魔族が人間界に対して暴れ出すことはないわ」
「まぁ……良いんだけどね。ちゃんと得るものはあったから……」
僕は魔王の言葉に頷く。
魔族の問題はこれで終わったと見ても良いだろう。……まだ問題が何もないわけではないが……。
一先ずは危機は去ったと見てもいいだろう。
「んー。あぁ……」
魔族には悪魔との戦いにぜひ活躍して欲しいと思っている。人間と魔族に争ってもらうわけにはいかない。
「それで……あなたに聞きたいのだけど……」
「ん?」
「あなたは知っているの……?魔族が病弱である理由を……寿命が短い理由を」
「……まぁ、知っているね。僕は」
「ほんとッ!?」
「あぁ。こんなところで嘘をつく必要はないだろう?」
「そ、そうだね……。それで……その理由は一体……?治せるものなの……?」
「ん?……まぁ、そうだね。多分なんとか出来ると思うよ」
「ッ!!!」
「落ち着いて……魔族がこれからどうすればいいか。教えてあげるから」
ふふふ。ぜひ魔族にはアレイスター家のために動いてもらいたい……別に良いよね?それが魔族の救済に繋がるのだから。
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