第六章 魔族

第1話

 アレイスター家が屋敷。

 その地下。


「なるほどね……そうなっていて……」

 

 僕はそこで研究を行っていた。

 何の?

 それは簡単。僕が『我が世界』で消滅させた病魔の塊についてである。

 『我が世界』でほとんどを消滅させたが……サンプルとして極僅かな欠片を回収していたのだ。

 欠片とはいえ病魔……二、三人くらいには平気で感染させるような代物ではあるが……アレイスター家から生贄というか、生きているようなに感染させてこれ以上の被害が出ないようにしている。


 生きているような

 アレイスター家の技術によって作られる死体傀儡で、死体に加工を施し、まるで生きているかのように行動させる。

 別に生き返らせるとかではなく、普通に記憶も感情も失う。ただの傀儡、人形。

 死者をも使い倒すのがアレイスター家である。

 普通に狂気の一族である。

 

「……やっぱり全然だな」

  

 神が齎した世界魔法の持っている力。

 それについて調べようと思ったのだけど……あまり得られるモノはない。

 所詮この病魔は神の世界魔法の端も端。あくまで本来、世界魔法が持っている力を応用させ、発展させた能力。

 神の世界魔法のメインの能力はこの病魔ではないだろうし……この病魔から神の世界魔法のメインの能力を推察することは難しかった。


「ふー……流石にそんなにうまくはいかないか……」

 

 僕は病魔へと手を添える。

 感じる力。

 それが神によるもので……決して、人間程度ではまともに干渉させないだけの強さを持っている。

 これは……あくまで神の世界魔法の末。既に神との繋がりは切れている弱々しい神の魔法の末。

 ……だからこそ、だから僕程度の世界魔法でも侵食して、叩き潰せた。

 しかし、目の前で……神が齎した……世界魔法を僕が侵食して叩き潰すのは現実的ではないだろう。


「まだまだだな……」

 

 僕は深く息を吐く。


「……そろそろか」

 

 上。

 僕が地上にある屋敷……そこにくつろいでいるお母さんの方へと視線を向ける。

 お父様は今、どこで仕事をしているだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る