第37話
「……まったく。ミリアがあんな凡ミスを侵すとは……再教育が必要だな」
自分の育てたミリアの不甲斐なさに呆れ、ボソリと呟く。
完全に想定外。
まさかミリアがなんの考えもなしに、魔族たちの前で逃げも隠れもせず堂々と戦いを挑むとは……。
暗殺者とは?
まったく。
魔族への殺意が高すぎだろ……魔族に親でも殺されたか?
ミリアの親を殺したのは僕なんだけど……。
今回。
僕は傍観者としての立場をとるつもりだったんだけどね……。
なんでこんなことになったのやら。
魔王たちは放置してきたよ。
魔族の軍団長の首をそうそうと治してこちらまで大急ぎで来た。
「クソッ!!!死ねぇぇぇぇええええええ」
「うるさいんだけど、黙って殺されろよ」
僕は叫びながら突進してきた魔族の頭に腕を伸ばして串刺しにする。
「ほっ」
僕は勢いよく手を引き抜く。
頭蓋骨が砕けて骨の欠片が飛び散り、脳が辺り一面にぶちまけられる。
「……っ」
「ほい」
僕は近くにいる魔族の首をねじ曲げて落としてみせる。
「……さっさと撤退しろよな。もう無理だって分かっているだろ……」
僕は未だに撤退する気配を見せず、徹底抗戦の姿勢を見せる魔族たちを見てボソリと呟く。
まぁ、どうせ残り100を切っている。
このまま全滅させてしまおう。
「ふぅー」
それからしばらく。
僕とマルジェリアは魔族の集団を壊滅させた。
実力差は歴然。
別に大して苦労することでもなかった。
「おーわり。結局最後まで誰も逃げなかったな……根性あるなぁ」
なんで勝てないとわかっている奴に対してそんな果敢に挑んでくるのだろうか?
勝てる可能性など0に等しかったというのに。日本軍かな?魔族には一億玉砕とかいうとち狂った思考でも蔓延しているのか?
「そうね」
僕の言葉にマルジェリアも同意する。
「……妾たちの苦労は一体なんじゃったのじゃ?こんなにもワンサイドゲームになるのならば、最初から2人が滅ぼしていれば良かったじゃないか……」
アレリーナの悲しげな独り言が空へと登っていく。
僕は聞かなかったことにした。
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