第2話 

 夏休みは終わった。

 実家へと帰っていた生徒たちが続々と学院の方へと戻ってきて、いつもどおりの学院生活が始まった。

 

 そんな中、あいも変わらず僕は生徒会室でダラダラとしているだけである。


「ぽえー」

 

 ミリアが作ってくれたパフェを頬張ってムシャムシャする。

 うん……美味しい。 

 やっぱりパフェはミリアが作ってくれたものが一番だね。


「ふふん」

 

 僕は頭に糖分を補充しながらこれからのことを考える。

 まだまだやらなくてはいけないことがたくさんある。

 五賢会の面々を潰すこと……魔王を手のひらで転がすこと……。


 あぁ……エルフの面々も対処もしないと。

 エルフの里にいる面々の知識は素晴らしいものだ。歴史の生き証人だからね。彼ら、彼女らからも知識をいただきたい。

 僕の知識の素となっているのはゲーム……というのももちろんあるが……実はそこまで大事というわけではない。

 まだ僕は数あるルートのうちの一つを終わらせただけに過ぎない。

 というか一番最初のルートは恐らくチュートリアルのようなものだったのだろう。

 

 エルピスサイドで世界を見れば……世界の闇を見れば……どうしようもないほどの色々な情報を見つけることが出来る。

 これらの情報はゲームにはなかったものだ。

 

 世界の闇の情報。

 それはアレイスター家に蓄積された数々の記録から得ているような状態であった。

 

 ……とりあえずはそこら辺か。

 そこら辺をやって僕の目的のための計画を進めて……。


 こう考えると僕ってばやること多いよな。

 どの問題も非常に重要で、大変な問題だ。片手間に出来るようなことじゃない……大変すぎないかな?僕ってば。

 労基はどこ?18歳にもなっていない少年にやらせていい仕事量じゃないよ


「コーヒーです」


「あ。ありがと」

 

 僕はミリアが入れてくれたコーヒーを飲む。

 ちゃんと僕のためにぬるめ、砂糖たっぷり、ミルク多めになっている。

 うん。素晴らしいね。

 

「ふー……美味しい」

 

「ふふん。ありがとうございます」

 

 僕の言葉にうやうやしくミリアが頭を下げる。


「はぁ……はぁ……はぁ……最近、私の扱い適当……無視……ぃい」

 

 僕とミリアのやり取りを見て生徒会長が鼻息を荒くする。

 うん。

 生徒会室は例え夏休みが終わったとしても、何も変わらず平和で静かな時が流れて……。


「おーい!!!エルピスー!!!」


「いるますかー!!!」


「ちっ」

 

「遊びましょー!!!」


 そんなことは全然なかったわ。

 生徒会室に押しかけてきたサブマ、リーリエ、ラザリア、キャサリンを見てそう思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る