第18話
「君達にはとある特別なことをしてもらいたい」
生徒会長が真面目な表情のままゆっくりと話し始める。
「これは今年から実施が試される新しい試みである。だから過去に生徒会メンバーとして活動したことのある二、三年生も初めて聞く話だと思う。心して聞いてほしい」
僕以外の全員がコクリと生徒会長の言葉に頷き、真面目に話を聞く姿勢を取る。
「私は今まで以上にこの学校を実力至上主義の学院にしたい。今までこの学院は実力至上主義を掲げてはいたものの、実際だからと言ってその考えがシステムとして反映されているわけではなかった。私はそれを変えたい」
生徒会長の言葉に僕以外の全員が頷く。
……完全なる実力至上主義、ねぇ。単純に幼少期、家からどんな教育を受けてきたかで決まってしまうからあまり好きな制度ではないんだけど。
設備がしっかりしている家で育った公爵家の子供と、設備がほとんどないような家で育った男爵家の子供。
どちらが強いかを考えたら一目瞭然だろう。
「私は手始めに新しい制度を導入したい」
「新しい制度、ですか」
副会長が生徒会長の言葉に驚く。
生徒会がこの学院の新しい制度を作る、というのは前代未聞だろう。学院の制度とは学院側が作るものだからだ。
僕の知っている中では生徒会が新しい制度を作ったり、今ある既存の制度を廃止したり手を加えたりしたという話はない。
「あぁ。そうだ」
「許可は降りたのですか?」
「あぁ。降りた。理事長にそこのエルピスの名を出して交渉すれば案外すんなり通った」
……え?勝手に僕の名前使われたの?
僕は好きにするが良いと言わんばかりの澄ました表情を浮かべながら、生徒会長の言葉に愕然とする。
勝手に名前を使われるのを許して良いのか?生徒会長が勝手に生徒会メンバーの名前を使って交渉するのを認めて良いのか?
ひどく疑問である。
「す、凄まじいな……」
二、三年生から僕に恐れと尊敬の視線を向けられる。
一年生から向けられる視線には呆れが入っているように思える……何故?
「それで?どんな制度を取り入れる予定なのでしょうか?」
副会長が最も重要な部分を生徒会長へと尋ねる。
「簡単だよ。個人の様々な分野を数値化し、現してその人の能力が数値で簡単にわかるようにするシステム。名前は個人情報完全管理システム。通称『IMS』をこの学院の新しい制度として取り入れるつもりだ」
生徒会長が自信満々に堂々たる態度で新しい制度についてみんなに向けて話した。
え……?名前だっさ。
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