第9話
「どういうことなのッ!!!」
大きな声を上げるラザリア。
「いや……その、ね?なんというか……」
それに対してタジタジになっているマルジェリア。
「んー。美味しい」
そんな二人を横目に僕は優雅な夕食を楽しんでいた。
今日のメニューはエビとほうれん草のパスタとカルパッチョ。それに、この家に置いてあった最高級のワインだ。
エビはぷりぷりで美味だし、パスタソースはこれを作った自分を褒め称えたくなるような美味しいソースだ。
カルパッチョもまた素晴らしい。僕が海に行ったときに大量に捕まえた、時という概念がない次元に保存してある新鮮な魚を使っている。魚の刺し身をの内陸国であるこの国で食べれるのは僕だけだろう。
ワインも実に素晴らしい。口当たりがとても良い。
「私は言ってたじゃん!!!こいつはクソだって!話を聞いていなかったの!?私に……私に……こいつと暮らせと!?というか、こいつじゃなくても嫌よ!!!年頃の女の子である私が……同年代の男と暮らすなんて無理なんだけどッ!?」
「うっ……それはそうなのだけど……色々とあるのよ……」
ラザリアの言葉にマルジェリアはタジタジだ。
「色々って!?何よ!?」
「忘れたのか?」
僕は二人の会話に口を挟む。
「僕は言ったはずだろう?お前に。『何も知らねぇ。無知な奴が囀るなよ』と」
「はぁ?……一体それが?」
「僕は強い。アレイスター家という汚名に似合わぬほどな。そして、生きる伝説であるこれが僕の対処に回っている。……それに加えての僕の発言だ。わからないか?」
「……」
ラザリアは沈黙する。
「これ……」
僕にこれ呼ばわりされたマルジェリアは地味に落ち込んでいた。……お前は何をしている?
「僕は別にリーリエを嫌ってはおらん。……ただ、接触を避けたいだけなのだよ」
「……」
ラザリアは沈黙する。
「……わからないわよ」
長い沈黙の末、ラザリアは呆然と呟く。
「わっかんないわよ!なんで教えてくれないの!?」
ラザリアは叫ぶ。
「人を傷つけてまでしたいことって何よ!?もう知らないッ!!!」
ラザリアはそう叫び、自分の部屋へと走り去っていってしまった。
「ふんっ。隨分とまぁ……きれいなことを言うもんだな」
僕はラザリアの言葉を聞いて、率直な本音を漏らす。
人を傷つけてまで……人を殺すのが仕事である僕に言う言葉だろうか?まぁ、ラザリアは僕が暗殺者であることを知らないけど。
「ははは」
そんな僕の言葉に対してマルジェリアは苦笑した。
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