第59話
揺れる大地。
そして─────
響き渡す大地が壊れていく巨大な音。
地面が崩れ、一つの大きな魔物が姿を現す。
大きな体躯に、光り輝く不屈の外骨格を持ったムカデ……そんな魔物が地面を突き破って姿を現したのだ。
「……ッ!?あれは……かなり強いな!俺らも協力を……!」
アルミスの言葉。
アルミスの言葉を聞いて、僕はアルミスの方を向く。
「良いじゃん」
僕は慌てているアルミスに向かって笑顔で告げる。
「あいつらがどれだけ強くなっているのかのテストだ。せっかくだし楽しんで見てやろうじゃないか……くくく、きっと面白いことになるぞ?」
「なっ……」
アルミスは僕の言葉に驚愕する。
「ま、まさか……君はあえて故意に……!?」
「いいや。そんなことはしないさ。おおかた地下深くに潜っていて魔物感知の魔道具の索敵に引っかからなかったのだろう。……僕だって強力な魔物をぶつけるほど悪趣味じゃないさ」
「だが……!」
「良いだろ?それに……黙ってみていろ」
僕は顎でリーリエたちを示し、大人しく見るように指図した。
「おい!?やばいぞ!?これは……!今すぐに煙幕を……!」
煙幕を焚こうとする主人公の男友達。
「いや、要らない!」
そんな彼を主人公は制しする。
「「……ッ!?」」
それを受けて彼も、そして僕の隣にいるアルミスも驚愕する。
「ここには……生徒会が、エルピスくんが倒せると思って残された魔物がいる場所だ!」
……おい。なんでそこで僕の名前が出てくる。
忘れろ?
「それなら……今!俺はここで安易に彼を呼びたくない!……こいつらは……自分たちの手で倒したい!」
主人公は主人公らしく熱く語り、剣を握る。
「……エルピスくんが……!」
「……ちっ」
リーリエが破顔し、ラザリアが舌打ちする。
「なら……!負けるわけには、ここで引くわけにはいかない!」
「……そうだな。あいつの手なんか借りたくないし」
「仕方ないなぁ……!お前らは!俺も付きやってやるよ!」
「みんな……!ありがとう!必ずここで倒し!エルピスくんの期待に答えて見せる!」
……なんで、僕の名前でみんな団結しているの?僕は期待なんかしてないよ?
うん。今すぐにでも降りて瞬殺してやろう。
「何をしようとしているんだ!?」
僕をアルミスが止める。
「何って討伐だよ?生徒会の義務さ」
「さっきと言っていることが違うよ!やる気に水を指してやるなよ!」
「あぁー!!!」
上で荒れている間に、主人公たちは一致団結して巨大なムカデの魔物との戦いを始めた。
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