第57話

「それでは校外学習を開始する。生徒会メンバーの努力のおかげで危険な魔物の数は減っている。君たちが真面目に、油断すること無く取り組めば死ぬことはないだろう。しかし、魔物は容易く人間を殺す。……決して油断することはないように」


「「「はい」」」

 

 先生の言葉にクラスメートたちは素直に頷く。

 校外学習。

 今日はその当日だ。

 生徒たちはみんな先生の指示に従い行動し、スムーズに森の中へと移動していく。


「……僕はもう帰っていいか?」

 

 生徒が生徒会メンバー以外居なくなった後、僕は呟く。

 先生たちも見回りのために森に向かっているため、今この場にいるのは僕たちだけだ。


「駄目に決まっているだろう……俺らには仕事があるんだから。何かやばい事態になったクラスメートたちが居たら助けにいかないといけないだろうが」

 

 生徒たちにはあらかじめ煙幕が持たされている何か緊急事態になったときに使うことになっている。

 それが使われた時、僕たち生徒会が動いて助けに行くことに決まっているんだ。


「でも、暇じゃん?」


「うむ。そうであるな」

 

 僕の言葉にアレリーナが頷く。


「というか見回りしている先生もいるし、普通に先生に任せれば良いんじゃないか?」


「何か問題が起こる前に対処するのが先生で、何か問題が起きたときに対処するのが生徒会って決められているんだよ!」


「何で決められているんだ……何故に生徒会に任せる。怠慢か?」

 

「うむ」

 

 僕とアレリーナが頷き合う。


「……アレリーナ段々とエルピスに似てきているんだよなぁ……問題児が増える……」


「えっ!?妾が似てきているだと!?これに!?……ば、馬鹿な……!真面目にやるぞ!妾は!うむ!」


 アレリーナは僕のことを指差し、叫ぶ。


「は?これって何?師匠なのだが?」

 

 僕は失礼なことを告げたアレリーナを蹴り飛ばす。


「あふん」

 

 アレリーナはバランスを崩し、倒れた。 


「まったく。失礼なやつだ」

 

 万死に値するぞ?全く。

 ……今すぐにでも素っ首を叩き跳ねてやろうか?


「ッ!?ごめん!ごめん!許してくれ!」


「まぁ、良いよ。その代わりパフェの具材買えよ?」


「う、うむ!」

 

 僕の言葉にアレリーナは頷く。


「んー。何しようかなぁ。暇だよねぇ。……あ、そうだ」

 

 僕は良いことを思いつく。


「せっかくだし僕らも見回ろうぜ。色んな人の観察をしようぜ!魔物をおびき寄せてぶつけてみたり!」


「おい!?そんなことをするなよ!?おぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいい!」

 

 僕は森の中へと向かった。

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