第50話
「ふぅむ」
僕は最近ハマっている魔道具の作成を行う。
魔道具。
まず魔法術式を魔力の通しがよい魔銀と呼ばれる金属に描く。
そして魔銀に魔力を流せば魔法術式が描かれ、魔法が発動するという便利な道具だ。
僕はその道具を使っているのにハマっているのだ。
「ふんふんふーん」
気分良く鼻歌を歌いながら魔銀を掘り、魔法術式を描いていく。
1mmのズレも許されない繊細な作業だ。
「君たちに足りないものは何か。それは戦闘経験だ。我々は魔物や魔族と戦い、勝利するために己の鍛えていると言うのに、戦闘経験が圧倒的に不足している」
「ふんふんふーん」
「えー、そこで、だ。我々は校外学習を行う。魔物が住まう森へと移動し、そこで一泊だけサバイバルを行ってもらうのだ」
今、先生が校外学習についての説明を行っている。
「生徒会のメンバーがあらかじめ安全を確保しているため死ぬ危険はないだろう」
生徒会のメンバーという言葉を聞いてクラスメートたちの視線が僕の方へと集まってくる。
まぁ、そんなもの僕は無視するのだが。
「……んっ」
僕は今作っている魔道具の仕上げに入る。
ちゃんと魔力が届くようにして……しっかり魔法が発動するように、と。
「校外学習は今から一週間後に行う予定である。前準備も君たちの自主性に任せてやってもらうつもりでいるからそのように頼む」
「「「はい」」」
僕以外の生徒が先生に頷く。
「よし、っと」
これで完成かな。
僕は出来上がった魔道具を眺め、満足気に頷く。一応形にはなっただろう。
……えぇっと……後はこれを道具の形にして……。
まだこれは魔法術式が彫られた魔銀の板でしかない。
「当日は4人グループで動いてもらうことになっている。今日はそのグループを作ってもらう。生徒会のメンバーは当日にも役割があるので今回のメンバーからは外れてもらうことになっているのでそのように」
「「「はい」」」
生徒たちは先生の言葉に頷き、各々の仲の良いメンバー同士で固まり始める。
「お前は何をやっているんだ……」
呆れたようにアルミスは僕の方を見る。
「ふん。別に何をしようとも僕の自由だろう?邪魔しないでくれ。今は忙しいんだ」
僕が作ろうとしているのは指輪型の魔道具。
そのためには魔銀の板を上手く変形させる必要がある。魔法術式に傷を付けずに変形させるのは至難の技だ。
「……良し」
魔道具と格闘すること30分。
ようやく指輪型の魔道具を作ることに成功する。
「出来たぁー」
今回作ったのは封印術を刻み込んだ魔道具。きっといつか使えるだろう。
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