ナイトリレーション
シフレー
第1話 苦しみの夜
深い森の中にあるノイテル王国。
森の中にあるのにも関わらず人口はかなり多く、ここを統治する王もいるほど栄えている。
そんな活気溢れる城下町で、ある日の昼間に国の中心にある教会で誰かが何かをしていた。
教会の中は、太陽の光で神々しい雰囲気を醸し出して、大きなステンドグラスはそのお陰で、存在感を出している。
その下で一人の老人は魔方陣を描き、ブツブツ独り言を言っていたのだった。
「・・・ふふふ、よしできた。まさか人生をほぼコレに使うとは思わなかったな。」
老人は、名残惜しそうな顔をし、恨む顔を魔方陣に向けていた。
「今までいろんなことがあったな。アイツ元気にしてるか?せめてあと一回位は会いたかったが、もう覚えてないよな。
・・・とにかくだ。全ての元凶はあの野郎のせいだ。ノイテルの皆には悪いが、巻き添えをくらってくれ。」
『我はこの魂を引き換えに貴方の力、使うと誓う。
包まれよ!アビスナイトフィルム!』
魔方陣は、呪文と共に濃い紫にひかりだし、バチバチと音をたてながら上昇していった。国の中心から森全体を外界から隔離するように、黒く禍々しい膜のようなものが現れた。さっきまで昼だったが、今は夜になっていた。
「うぐ、あああ、かは、」
老人はそれと同時に胸を押さえながら苦しみだした。
「よし、成功、だ。これ、でもう、私、は。」
バタン、と倒れ老人は動かなくなった。それを観察していたかのように、何かが老人の体に入っていった。
「・・・ふぅ、やっとかぁ。長いよジジイ。もっとパパッと作って~。」
老人は別人のような声と口調で話しかけるように喋った。
「よし、これであの方の復活も、まもなく。かな?」
そう言うと、背中からコウモリのような羽がバサッと生えて、音をたてずに教会から出てきた。
「おっと、危ない危ない。証拠は消さなきゃ、ね?」
パチンと指で音を鳴らすと同時に、教会は崩れだし、魔方陣は壊れて消えていった。
「よし、帰ろう。」
そう言って老人だった物は、月へ飛びさって行った。
時は遡り、数時間前。
街外れの小麦畑で仕事をする少年”シェイ”は、愚痴を言いながら作業をしていた 。
「お母さん、もう疲れたよー。」
その愚痴を書き消すようにシェイの妹”ミッタ”は、仕事に全うしていた。
「よいしょー!よいしょー!」
「ミッタ、よく疲れないな。」
「そりゃそうだよ、だって私、魔法かけてるからね!」
ミッタは小さい頃から魔法のセンスがあり、父親に教えてもらっていた。
今では自分に補助魔法をかけれるほど上達になっていた。
ちなみにシェイは、魔法のセンスが全くなかった。だが何故か、瞬間移動は出来た。
それが出来るなら他も行けるかと一時期、父親は熱心に教えたが、全くできなかった。
「いいよな、ミッタは。魔法で楽できて。」
「ふっふっふ。でも、私はお兄ちゃんの方が羨ましいよ。」
「ええ~、嘘d、痛ぁ!」
「コラァ!調子のるな!」
シェイの母親”ティーナ”は、シェイにげんこつをかました。躊躇なく。痛そう。
「ちょっとは手加減してよ~。」
「だったら調子のるな。」
「いやでも、瞬間移動ってすごくな」
「黙れ。」
「はい。」
ミッタはシェイのみっともない姿を見て腹を抱えていた。正直笑える。
「はい、じゃあそろそろお昼ご飯食べに家に戻ろうか。そこの少年は置いてね。」
「やったぁー!お昼だぁー!」
ティーナとミッタはシェイを置いて家に向かった。
「ちょいちょーい、待ってよー!」
家に向かう3人はまだ気づかなかった。
もう、昼は来ないという事を。
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