続 Side:S
でも、もしも奇跡が起こったとするならば……その可能性もなくはない。そう、例えば、自分自身のように身体を無機物と挿げ替えたなら。
だとしても。仮にこの男が本物のイーグルだとしても、そう簡単に腑に落ちるものではない。
「あの後──研究室で目覚めた私は、真っ先にお前をさがしました。しかし、誰もが無言で首を横に振った。何年もそうしてはぐらかされて、やがて戦争は私たち反乱軍の敗北という結果に終わった」
「…………」
「私をこんな身体にした科学者を問い詰めた。お前の身体は、塵すらも遺っていなかったそうだ。どのような形であれ、生存は絶望的だ、とね」
二人の間に沈黙が流れた。シイハを取り囲んでいた景色が、解けたパズルのようにぽろぽろと崩れていく。
「お前だけは俺を信じて、どこかで待っていてくれると思ったのにな……──」
イーグルが刀を持った利き手を、力無くだらりと降ろした。刃先がこつんと地面に当たる。
崩壊した景色は、やがて光を増し、澄み渡った青空を映した。それはどこまでも、どこまでも青くて。
「……イーグル」
なぜだろうか。
その哀しそうな瞳だけは、本物の彼のもののような気がしたのだ。
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