第2話 「赤、黒、黄」


俺の名はダイヤの国ブラックストーン家の

ブラックストーン・バラだ。

親はいないし、そもそも記憶がない。

まぁ、王子だから不自由なく暮らせている。

俺は、よく本を読むのが趣味だ。

そして、1番お気に入りの本は『伝説の竜』という昔話だ。

昔話なので、あったか無かったかは分からないけど、竜という生き物をこの目で見てみたいとは思う。この昔話は町で人気だ。


『いつしか竜は力を与える』


この言葉を信じて、俺も人もみな今日も生きている。

俺は自分の部屋で本を開いた。

その瞬間、時間が止まった。そして、低い声が聞こえた。


「主、契約を実行せよ。」


その声に俺は答える。

「契約って何?ていうか、誰?」

「我の名は赤竜。主は私たちのことを呼びましたよ。」

「私達?他にもいるの?」

俺は辺りを見回す。すると、声が聞こえた。

「失礼。私のことが見えますか?私は黄竜。」

「わしの名は黒竜じゃ。」

3匹の竜がいることに驚きを隠せられない。

呆然としていると、赤竜がこう言った。

「この世界にマモノという恐ろしい物がいるのです。それを倒して欲しいのです。

すべては、平和の為に。」

「俺、マモノなんて見たことないけど。」

「この数年は平和だったのです。しかし、あのマモノ大戦からまたマモノが復活するでしょう。」

「なるほどね。」

理解はした。でも、そんな急に言われてもな、、、と俺は考える。赤竜は話を続ける。

「私たち竜は、主に力を与えます。それが魔法です。あなた様はこれをきっと使いこなせるでしょう。」

「魔法か、、、」

すごい。昔話のことがほんとに起こった。

「マモノはいつ来るのか知ってるのか?」

その問いに黒竜が答えた。

「想定済みじゃ。あやつは未来が見えるからな。」


あやつって誰だろう。


そんな疑問をかき消すように、赤竜が言った。

「さぁ、主様。まずはクローバーの王子のスミレ様と合流してください。」

「分かった、、。ほんとに俺が出来るのか?」

「大丈夫です。あなた様は選ばれた人なので!」


選ばれた人か、、、。

複雑な感情を残して、まだ慣れない魔法を操る。


これから先のことは誰も予想出来ない。




第3話へ続く

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